
左から、相席スタート・山添寛さん、ドンデコルテ・渡辺銀次さん、カゲヤマ・益田康平さん
これまで下積み時代の苦労話のひとつとして語られがちだった、芸人同士のシェアハウス。益々荘をきっかけにその定説もくつがえる?
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訪れたのは東京都練馬区某所。現在、3人の人気芸人たちがここで共に暮らす。「きっかけを作ったのは僕なんです」とは相席スタートの山添寛さん。およそ10年前、ドンデコルテの渡辺銀次さんと同居していたアパートの更新料をギャンブルで使い込み、部屋を追い出される羽目に陥った。その窮地を「うち、来る?」と救ったのがカゲヤマの益田康平さんだった。
益田さんの実家は二世帯住居で、ご両親が「お笑い界のトキワ荘にしたい」と住まいの1階部分を格安の家賃(1人あたり2万7500円)で快く開放。それ以来、渡辺さんはこの家に住み続ける。
一方、山添さんは1年ほどでM-1出場などを経てブレイク。「売れっ子はタワマンに住むもの」と、一度はこの家を退去した。その後も元・ザグレイテストヒッツのタザアクチュアリーさん、元・大自然のしんちゃんさん、からし蓮根の伊織ラッキーさんなどが入れ替わり入居し共同生活が続き、昨年M-1準優勝で渡辺さんも“低所得”から脱却。後進に道を譲るべく引っ越しを検討していたが、山添さんが再入居を決意。「俺が戻るから出んといて」と渡辺さんを口説き、シェア生活延長へ。益田さん曰く「住人が変わるとシーズンが変わる」益々荘は現在、異例の9シーズン目へと突入した。M-1にキングオブコント、ダブルインパクトのファイナリストたちが40歳を越え、なぜシェアライフを選ぶのか。気になるその理由を探る。

1LDKのリビング部分が渡辺さん、和室が山添さん。各自のスペースを深掘り!
渡辺銀次さんのスペース

9畳のリビングに渡辺さんのプライベートスペースがある。「この10年で同居人は替わりましたが、自分の居場所はここから動いてない」と言う。リビングは玄関やキッチン、洗面所への動線なので必ず人の目がある。プライバシーが守られる奥の和室を選ばなかった理由は「扉があると部屋を閉め切り出てこなくなるんじゃないかと。人との関わりを否応なく持つことができる場所が自分にはちょうどよかったんだと思います」。
渡辺さんのスペースに置かれているのはシンプルなローベッドと、時代小説などがずらりと並ぶ本棚、山添さんから譲られたラグやソファ、テレビなど。ネタを書くデスクもあるが「片付けが追いつかずデスク上は物だらけ。今はタブレットを開くのも主にキッチン」。
趣味人としても知られ、革靴やけん玉、ギターなどアイテムも多い。「日々忙しく、趣味と向き合う時間も減りました。余裕ができたら愛着のあるものを展示するスペースをより良く整えたいです」

Room Point ①
経年劣化を愛する男の革靴コレクション

自室で渡辺さんが丁寧に靴を磨く動画も話題に。衣装用と私服に合わせるブーツを革靴アクスタとともにテレビ横に並べている。「革靴は手入れするほど味が出ます。レッドウィングのベックマンはすでに廃番モデル。大事に履いていきたいと思っています」
Room Point ②
中古ショップで2000円で買ったギター
TVCMで披露したギターは「弾き始めたのは1年半くらい前」。きっかけは『ハードオフ』で2000円だった壊れたギター。これを購入し、専用の万力などを使い自力で直した。「ステージで弾かされるから、時間を見つけては練習しています」
Room Point ③
壁にずらりと並ぶけん玉コレクション

けん玉も渡辺さんの特技のひとつ。テレビ上の壁のラックには、けん玉が9種ほど並べられていた。「壁に飾ってあるのは観賞用です。実際に使うのは、手に馴染んだ『スーラボ』のけん玉。これはマイ巾着袋に入れて、いつも持ち歩いています」
山添寛さんのスペース

都心のマンションに暮らしていたが、更新のタイミングで次はどんな家に住みたいかと考えた時に「益々荘しかない」と気づいたという山添さん。「それまで住んでいたマンションと比較すると広さはだいたい4分の1になった」そうで、持っていた家具や荷物などは、かなりの量を処分したという。
「でも減らしてみて、自分に必要なものはこれくらいでちょうどええんやなと気づきましたね。無理なく、落ち着く広さです」
渡辺さんが「過去の同居人の中で最もきれい好きなのが山添」と言うだけあり、部屋は「お気に入りだけを残した」という北欧家具を配した、落ち着く空間。アート作品やインテリアなどが絶妙に和室ともマッチする。襖もあるが閉めることはほぼないのだそう。
「昔と違い全員が揃う時間が少ないので、共にいられる時間は一緒に過ごしたい。それぞれの部屋に戻るのは寝る時くらいです。お喋りのしすぎで寝不足になるのが、目下の悩みかもしれません」

Room Point ①
住宅街を望む、小窓がお気に入り

和室には、明かり取りの小窓が。「押して開けるタイプの突き出し窓で、サッシも木製でちょっとおしゃれなんですよ。窓の外には西東京の住宅街が眺められる。その景色もすごく平和でホッとできるのでいいなと。とても気に入っています」
Room Point ②
テレビ台に並べたアート作品たち
実家が古美術商を営む山添さん。自身もアート好きで気に入った作品を購入することも多いそう。「益々荘を出て都心に引っ越した時も、寂しさを埋めるように絵を飾っていました。今、和室にはテレビがないのでテレビ台がアートスペースになっています」
Room Point ③
こだわりの家具は持ってきました

以前使っていた家具はほぼ処分したという山添さん。「持ってきたのは、お気に入りのオープンシェルフと、EXITのりんたろー。にもらったソファくらいですね。ソファは3人で掛けることもできるゆったりサイズ。意外と和室にも合いました」
共用部“キッチン”

有名芸能人からも「一度は食べてみたい」とオファーの絶えない“銀次チャーハン”が生み出されたのがこちらのキッチン。「以前は200円払って食べたい時に作ってもらっていたんですが、今や気軽には頼めません(笑)」と、益田さん。
キッチンにはダイニングテーブルなどはなく、簡易椅子3脚だけ置かれた雑さが男子っぽい。食事もYouTubeの収録も基本こちらで行われる。共用部分のルールについて聞いてみたが「大人なのでそれぞれの良心に任せている」と、渡辺さん。それでケンカすることもないと言う。この日もチャーハン調理中に「砂糖用の計量スプーンがないぞ…」とつぶやく渡辺さんに「じゃ、帰りに買ってくるわ」と即レスする山添さん。この連携プレーが共同生活を円滑にするコツかもしれない。

Profile
相席スタート 山添 寛
やまぞえ・かん 山﨑ケイと2013年コンビ結成。『M-1グランプリ2016』決勝進出。競馬、ボートレースなどギャンブル好きとして知られる。'16年に益々荘を退去するが今年6月に再入居を果たす。
ドンデコルテ 渡辺銀次
わたなべ・ぎんじ 小橋共作と2019年コンビ結成。『M-1グランプリ2025』『ダブルインパクト2026』で準優勝。'16年から益々荘在住。益田、山添とは、よしもと芸人養成所NSC東京14期の同期。
カゲヤマ 益田康平
ますだ・こうへい 中学の同級生だったタバやん。と2009年コンビ結成。『キングオブコント2023』で準優勝。実家に自室を持つ益々荘の大家で、YouTubeチャンネル「それいけ益々荘」を運営する。
anan 2509号(2026年8月26日発売)より
































