菓子好きたちが待ちわびた『RUE DE PASSY』(リュードパッシー)の再始動。移転したお店は『L’Artisan Moderne』と名前も新たに。「現代の職人」を表す店名は、長島正樹シェフの「さらに職人の仕事にフォーカスしたい」、その志の表れという。
旅するようにフランス各地で修業を重ね、自店を開いたのは23年前。以来、クラシックなお菓子に今の価値を映す、モダンな伝統菓子を作ってきた。新店はサロンもあった前店よりずっとコンパクト。「品数を増やすより、本当に作るべきものに手間をかけたかったんです」。冷凍したものを出すのでなく、パイやタルトなどを朝に焼き、ほとんどのお菓子を当日朝に仕上げる。ショーケースには8~10種と前の半分ほどながら、とびきりのプチガトーが輝く。なかでもこの夏のサヴァランは特別。決め手はハーブや薬草のジン「The Botanist」。豊かな香りにクローブや八角など数種のスパイスを合わせてシロップに。さらには1日がかりでいろんなハーブの香りを抽出したクリームにこのジンを混ぜてハーブシャンティに仕立てた。口にするとじゅわり。ハーブの清々しさにグレープフルーツのはじける甘酸っぱさとほろ苦さが重なり、スパイスが奥行きを広げて……なんとも爽やかでご機嫌な夏サヴァラン。今の気分に伝統菓子がしなやかに寄り添う。
手前から時計回りに、濃厚なピスタチオをぶどう、カシスがジューシーに彩る「サントノーレ ピスタッシュ」¥756。「タルト シトロン」¥670は、レモンクリームにアングレーズベースのまろやかなバニラレモンクリームも潜ませて酸味を和らげ、レモンの香りを底上げ。「サヴァラン ボタニスト」¥756は夏季限定。さくらんぼの瑞々しさと深みを味わう「バルケット オ スリーズ」¥702。朝焼きのタルトはサクサク軽やか。
L’Artisan Moderne 東京都目黒区下目黒5‐18‐20 ヒルトップワンコマツ1F TEL:03・5708・5560 10:30~18:00(日・月曜~17:30) 火~木曜休
※『anan』2024年7月24日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト ・野崎未菜美 取材、文・chico
(by anan編集部)