アートなデザートの世界へ…! 五感で堪能する、デザート専門店の新作3選

フード
2023.01.22
食感、香り、温度。五感で堪能する、できたてのアシェットデセールに味覚の宝石箱のようなパフェ…。注目のデザート専門店の新作をご紹介します。

さまざまな香りでショコラを輝かせる、グラスの中の小宇宙。
As(アス)の「バレンタインパフェ」

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ひと匙ごとに次々と、新たな香りが現れては重なっていく。スーシェフを務めた『アン グラン』では、小さなお菓子(ミニャルディーズ)の中に繊細に味を組み立ててきた青木繁シェフ。昨年11月にオープンしたアシェットデセールの店では、グラスに見事に調和するパフェの小宇宙を作り出す。主役はベリー系の香りを秘めたタイのチョコレート。カカオニブごと撹拌して混ぜ込むソルベ、軽いショコラシャンティー(生クリーム)、濃いショコラクリームにして、チョコのいろんな表情を引き出した。そのアロマに寄り添わせるのは、数種のベリーとラベンダージュレ。さらには「ベリー系のフレッシュさに“枯れ感”で奥行きも出すんです」と、グラスの奥に、「赤ワインとザクロビネガーで炊いたドライフルーツジャム」を纏わせたイチゴも潜ませて。こんな一見わからない部分にまでとことん手をかけて醸し出す、ほのかな旨味や熟したニュアンス。そうした細やかな積み重ねが、どうしようもなく心を揺さぶってくる。

タイ『ガートココア』のチョコ「チュンポーン70%」を軸に、香りのパーツを重ねて。2月のデザートコース(デザート3品、焼きたてフィナンシェ+ペアリングドリンクで¥7,000)のメインデザート。

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左・「ストリングスホテル 名古屋」を経て、『アン グラン』『アンフィニ』でスーシェフを務めた青木シェフ。右・ザクロビネガーのほのかなえぐみと酸味もアクセント。

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1月のみ、コースはイチゴとチーズのパフェ、フィナンシェ+ペアリング(¥5,000)。東京都渋谷区恵比寿1‐26‐19‐B1 TELなし 15:00~/19:00~(2部制※1月は12:00~/15:00~/18:00~) 月・火曜休 要予約

皿に再構築する、ウイスキーとレモン、ショコラのいい関係。
releve dessert(ルルベ デセール)の「fume de chocolat」

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ウイスキーとチョコと聞き、どんなダンディな皿が来るかと思えば、そのデザートはシックでどこか儚げ。仕上げにシュッとウイスキーをスプレーすると、空間ごと別世界になった。「デザートならではの、こういう瞬間に魅せられてしまって」。元々パティスリーを開くべく修業していた宇野澤惟シェフ。パリ最古のレストラン『ラペルーズ』でアシェットデセールの面白さに目覚めたという。食材の持つ表情を最高に引き出す彼女の手法は、なんともユニーク。ウイスキーならライ麦や大麦、ピートなどに一度分解して再構築。例えば大麦はグラノーラになり、葉っぱのチュイルにはピートを潜ませる。チョコはウイスキー樽に使われるホワイトオークでスモークしてからガナッシュに。ちょっと重めのところを、瀬戸内レモンで軽やかに仕立ててみせた。ひと口の中に、ウイスキーの芳醇さとレモンの爽味が重なり、燻香が広がってと、ショコラを背景にウイスキーの印象が移ろう。食材の深掘りが新たな幸せを運んでくる。

コク深めのウイスキー「KOVAL」とレモン、ショコラが軽やかに調和。ブラウニー、ウイスキーガナッシュ、レモンと燻製チョコのガナッシュ、大麦グラノーラなどを重ねて。¥2,200※2/1~の新作。

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左・『パティシエ イナムラショウゾウ』、パリ『ラペルーズ』などで研鑽を積んだ宇野澤シェフ。右・デザートはシーズナブルな全3種。1月は「フォンダンショコラ」も。

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フランスの伝統と日本の旬が融合したデザートを。トーンを落としたシックな内装が、パティシエの所作を際立たせる。東京都港区東麻布2‐31‐5 真部ビル1F TEL:03・5545・5520 12:00~23:00(22:00LO) 月・火曜休

発見と驚きに満ちた非日常を楽しむ、記憶に残る食体験。
Libertable(リベルターブル)の「クレープ ショコラ トリュフ ノワール」

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既存の枠にとらわれない、森田一頼シェフのデザートがついに再来! お菓子好きを歓喜させている。2010年、デザートと料理の境目のない、パティシエが作るフレンチのフルコースから始まった『リベルターブル』。その3年後に移転してパティスリーになったが、9年を経て昨秋、パティスリーの向かいに新たなデザート店を構えたのだ。非日常を感じさせる空間で淡く発光するU字形テーブルは、輝くデザートの舞台のよう。森田シェフの手にかかれば、クレープも特別なひと皿になる。生地にもガナッシュにもアイスにも贅沢に入るのは黒トリュフ! さらに削りたてのトリュフがたっぷりかけられた皿は、運ばれたそばからただならぬ甘美な香りをふりまく。口に運べば、外はサクッ、中はしっとりの生地から、トリュフ入りガナッシュがとろり。気高さと大地の強さを併せ持つようなトリュフの香りと、チョコの心地よい酸味や苦味、フルール・ド・セル(海塩)が見事に調和し、没入必至。心震える食体験を。

トリュフ尽くしのチョコレートクレープ。トリュフのアイスとオイル、削りたてのフレッシュトリュフの香りが溢れる。添えられたシェリー酒ソースをつけるとより熟味が深まる。¥3,510※2/14頃まで。

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左・独創的なケーキも人気ながら、繊細な瞬間を捉えるデザートこそ森田シェフの真骨頂! 右・トリュフ×ショコラは『リベルターブル』を象徴する香り高い組み合わせ。

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デザートは常時3~4種。春頃から不定期で、待望のデザートコースも再開予定。昨年9月オープン。東京都港区赤坂3‐6‐10‐1F(イートイン) TEL:03・3583・1139 12:00~18:00(パティスリーは11:00~) 日・月曜休

※『anan』2023年1月25日号より。写真・青木加代子 取材、文・chico

(by anan編集部)

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