真野(以下M):そろそろ京都の紅葉も見頃。その京都を拠点にされていて、私も大ファンの和菓子作家・杉山早陽子さんの手掛ける和菓子ブランド『御菓子丸』から、楽しみに待っていた新作が販売開始になりました。見てください! 繊細で美しい佇まい。こんなにも綺麗な文様のお菓子にはなかなか出合えませんよ。
編集N(以下N):描かれるのは、蓮華を思わせる花と、同心円を描くように広がっていく蔓。生命力を象徴的にあらわす仏教美術に見られる文様だそう。木型は仏師が彫り上げたんですって。食べられる芸術品!
M:神社仏閣の多い京都ならでは、と感じられるわね。こちらは着想から1年ほど試作を続けられて、ようやく完成したんですって。徳島産の和三盆を使っていて、口に入れた途端にホロホロとほどけていく儚さ。
N:本当に! でもこの感じ、落雁とちょっと違いません?
M:そうなの。こちらは名付けて“ニュー和三盆”、なんと焼き菓子なのよ。和三盆の口溶けの良さを残しつつ、甘さを控えた味わいに仕上げるのに苦労があったとのこと。
N:程よい甘さに、杏仁の香りがやさしく包んでくれますね。
M:不思議と心まで落ち着くような感覚になりません? 眺めてよし、食べてよし、ゆっくりと五感で味わいたいお菓子です。
宝相華¥3,800。以前、モロッコを旅した時にイスラム文様に圧倒され、学びはじめた杉山さんが、日本の文様を調べる中で辿り着いたのが「宝相華」。
御菓子丸 購入はオンラインストアから。受注の情報はインスタグラム(@okashimaru_)でチェックを。https://www.okashimaru.com
真野知子 ギフトコンシェルジュ。手土産など日常的なギフトからハレの日まで多彩なシーンに合わせたギフトをセレクト。
編集N コーヒーにも、抹茶にも合うので、飲み物もセットに手土産にしてみたいな。
※『anan』2022年11月2日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美
(by anan編集部)