食材の栄養をまるごといただく食薬スープ。
薬膳や漢方など中国の伝統医学と、西洋医学である栄養学、そして栄養吸収に欠かせない腸活を組み合わせた「食薬」。
「体調に合わせた食材や調理法を選択することで、体質から改善できるのがメリット。ただし食べ物は“薬”ではなく、日々続けることに意味があるので、身近で手に入れやすい食材を使って、誰もが無理なく取り入れられるよう工夫しています」と、食薬を提唱する大久保愛さん。
「食薬スープは、海藻や乾物など天然のだしをしっかり効かせるのがポイント。だしのうまみが強いと、塩分や糖分が控えめの味つけでも満足感が得られ、味覚が整います。また、食材の栄養価を余さず摂取できるのも魅力です」
高温で調理された揚げ物、精製された砂糖や小麦粉を使ったメニューや塩分過多な食事などは腸内環境の悪化を招き、体内の酸化や糖化の原因にもなるため、食べ合わせに気をつけるとより効果が期待できるのだそう。
お悩み別の食薬スープを取り入れて、すこやかな食生活を。
ポイント1:心とカラダを動かすため十分な栄養を摂る。
乾物やスパイス、発酵調味料などを活用し、7大栄養素をまんべんなく摂取できる食生活を。
ポイント2:腸内の善玉菌に作用する食事を意識する。
自分だけでなく、腸内の細菌のことも意識した食事を。発酵食品や食物繊維を摂るのがコツ。
ポイント3:炎症を起こすような食事をなるべく控える。
揚げ物や糖質が多い食事は要注意。酸化や糖化、腸内の悪玉菌活性化などさまざまな悪影響が。
ポイント4:炎症を抑えるような食事を心がける。
抗炎症作用のあるハーブやスパイス、フィトケミカルを豊富に含む旬の野菜を活用した食事を。
ここでは“冷え解消”レシピをご紹介します!
たっぷりしょうがのとろろ豚汁
胃腸の調子を整え温め体質に。
カラダを温める食材の相乗効果で、燃えやすい体質に。
「血行を促進し、末端の冷えを解消する豚肉をはじめ、加熱することでカラダの芯から温めるしょうが、胃腸を整えて消化吸収力を高めるキャベツを使った豚汁がおすすめ。長芋はすりおろし、生で加えることで消化を助けます」
材料/2人分
豚バラ肉…80~100g、しょうが…5g、キャベツ…1枚、長ねぎ…1/3本、長芋…150g、だし汁…2カップ、みそ…大さじ1,1/2~2、七味唐辛子…適宜
作り方
(1)豚バラ肉は3cm幅に切る。しょうがは千切りにする。キャベツは一口大、長ねぎは小口切りにする。長芋は皮をむき、すりおろす。
(2)鍋にだし汁、しょうがを入れて中火にかけ、ふつふつしてきたら豚バラ肉、キャベツ、長ねぎを加える。
(3)再度ふつふつしてきたらアクを取り、2~3分弱めの中火で煮る。
(4)みそを溶き入れて器に盛り、長芋(とろろ)をのせる。お好みで七味唐辛子をふる。
大久保 愛さん 漢方カウンセラー、薬剤師、国際中医美容師。漢方や薬膳などの医療と美容の専門家として「食薬」を提唱。近著は『1週間に1つずつ 体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
※『anan』2022年2月16日号より。写真・中垣美沙 スタイリスト・野崎未菜美 レシピ作成、調理・みないきぬこ 取材、文・宮尾仁美
(by anan編集部)