茶種や抽出温度により味わいだけでなく栄養成分にも違いが。
煎茶、玉露、抹茶、番茶、ほうじ茶…。栽培方法や製茶方法によって、7つの茶種に大別される緑茶。
「緑茶には、カテキン類やカフェイン、テアニンなど健康に嬉しい成分が豊富。でも、茶種により味わいや抽出される成分も少し変わります」と言うのは、日本茶インストラクターの片山晃子さん。
また、味や栄養成分は、お茶を淹れるお湯の温度でも違いが出るのだとか。
「例えば、カテキン類の中でも、苦味・渋味が強く抗炎症作用のあるエピガロカテキンガレート(EGCg)や、覚醒効果のあるカフェインは湯温が高いほど出やすい成分。逆に水出しでは、カテキン類でも苦味がマイルドで免疫力アップに効果的なエピガロカテキン(EGC)や、気分を穏やかにする旨味成分テアニンの含有率が高まります」
味わいとともに、栄養成分も意識しながら、TPOや気分に合わせて、茶種を選んだり、抽出温度を変えてみると、緑茶を飲む楽しみがぐんと広がる。
緑茶の種類
・煎茶(普通、深蒸し)…露天栽培の生葉を蒸して、揉み、乾燥させて針状に製茶。カテキン、ビタミンCが豊富で、一番茶にはアミノ酸やテアニンも多い。蒸し時間が長い深蒸しは濃厚で甘味がある。
・玉露&かぶせ茶…玉露は茶園を覆い、日光を避けて栽培した生葉を使って製茶。かぶせ茶は被覆期間が短め。低温のお湯で淹れて旨味や甘味を楽しむのが基本で、テアニン、カフェインを多く含む。
・蒸し製玉緑茶…露天栽培の生葉を摘採後すぐに蒸して酸化を止め、揉みながら乾燥させて勾玉状にしたお茶。「ぐり茶」ともいう。成分は煎茶と同じく、カテキン、ビタミンCが豊富。
・抹茶…玉露と同じ被覆栽培した生葉を蒸し、葉を揉まずに乾燥させた碾茶を臼でひいた微粉末状のお茶。玉露と同じ水溶性成分に加え、茶葉自体の健康成分をそのまま摂取できる。
・番茶…新茶以外のお茶の総称。硬くなった新芽や茎、出遅れて硬くなった葉などで作られる。基本の仕上げ工程は煎茶と同様。カテキン、カフェインなどの成分は煎茶に比べて少なめ。
・ほうじ茶&玄米茶…番茶や煎茶を強火で焙煎したほうじ茶は、芳ばしい香りでアロマ効果が。口の中もさっぱりするので食後に最適。玄米茶は主に、番茶に蒸して炒った玄米をブレンドしたもの。
・釜炒り製玉緑茶…生葉を熱した釜で炒って酸化酵素を不活性化する製法の煎茶。釜香という独特の香りがおいしさを引き立て、煎茶の健康成分に加えて、アロマのリラックス効果も期待できる。
緑茶まるごとレシピ。
緑茶が持つ栄養を残さずしっかりいただくなら茶葉を食べるのが一番! お菓子研究家の本間節子さんが茶葉をおいしく味わえる簡単レシピを教えてくれました。
甘酒ほうじ茶
材料/1人分
ほうじ茶(ミルかすり鉢ですりつぶし、太くて硬い茎は取り除く)…1g、甘酒…100ml、お湯…50ml、牛乳…50ml、ゆずなど柑橘の皮(マーマレードなどの柑橘のジャム小さじ1でも可)…少々
作り方
1、鍋にほうじ茶を入れて湯を注ぐ。甘酒と牛乳を加え火にかけ、湯気が立ったら火から下ろす。
2、器に注ぎ、ゆずの皮を削いだものを浮かべる(またはマーマレードを加える)。
Point
ほうじ茶の芳ばしい香りと、甘酒と牛乳をミックスしたまろやかな酸味がマッチする一品。ゆずの皮の風味も小気味いい。
片山晃子さん NPO法人日本茶インストラクター協会認定の日本茶インストラクターのほか、日本紅茶協会認定のシニア・ティーインストラクターの資格も。幅広い角度からお茶の魅力について啓蒙活動を行う。
本間節子さん お菓子研究家。日本茶インストラクターの資格を持ち、お茶を使ったレシピ本も多数。近著は『お菓子をつくる 季節を楽しむ82レシピ』(主婦の友社)。
※『anan』2021年4月14日号より。写真・衛藤キヨコ スタイリスト・野崎未菜美 料理製作・本間節子 構成、文・野尻和代 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)