「奥渋谷の『ビストロ ロジウラ』で活躍した西恭平シェフが、兜町で新しくビストロを始めたらしいよ」。そんな情報が入って、「なんで兜町?」と不思議に思ったのでさっそく出掛けてみた。驚いたのは、この街にかつての金融街の面影がなかったこと。そこかしこに工事中のビルが建ち並び、その一角に『Neki』がオープンしていた。実はこのあたり、数年後に新しく生まれ変わるという。そこにいち早く乗り込んだというわけ。
メニューを見ると、アペタイザー(軽いおつまみ)から、パスタ、魚、肉とアラカルトで楽しめる。気軽なビストロから2ツ星のイノベーティブな店まで、幅広い仕事を身につけた西シェフだからこそ「自分らしい料理でやっていきたい」という意欲が伝わる。「自分らしさとは?」と聞くと「和の素材が好きなんですよね」。シマアジのタルタルにはオクラ、キュウリ、ミョウガを混ぜてあるし、穴子のフリットには焼きナスとカラスミがソースとして添えられている。「もちろん、味はちゃんとフレンチに着地しています」。味だけでなく器もオリジナルという贅沢さ。予算は2人で6皿前後をシェアして、ワインを飲んで1人1万円前後。料理の素材、仕事の細かさ、ワインの選択、音楽も含めた空間など総合力に納得。
左前から時計回りに、フランス産鴨胸肉の炭火タレ焼き¥3,500、シマアジのタルタル カツオの出汁と発酵トマトとパセリのソース¥1,800、トロフィエ(ねじれたショートパスタ)のジェノベーゼ¥1,800、穴子のフリット 焼きナスとカラスミ¥2,000。グラスワイン¥900~¥1,200。料理は一皿で2人前。2人でシェアをするなら2皿に分けて出してくれる。チャージ¥500、アミューズ付き。
Neki 東京都中央区日本橋兜町8‐1 兜町第4平和ビル1F TEL:03・6231・1988 ランチ11:30~14:30(14:00LO)、ディナー18:00~23:00(22:00LO) 日曜休
いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。
※『anan』2020年8月5日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子
(by anan編集部)