ふだん意識することのない、血管の健康。でも、油断は大敵。
「血管の壁の弾力性が低下したり、悪玉コレステロールなどの脂質が溜まって硬くなった状態が続くと、やがて心臓や脳の血管が詰まるなど病気の原因に。血液循環が悪くなって細胞に酸素や栄養が行き渡らず、美容にも悪影響大です。硬くなった血管は簡単には元に戻らないので、ぜひ若いときから予防を」(女子栄養大学栄養クリニック管理栄養士・森さやかさん)
運動習慣やストレスを減らす工夫なども必要だけれど、まず始めたいのが食の見直し。
「塩分と、肉の脂身やバターなどの動物性脂質を減らし、良質のタンパク質やビタミン類などの抗酸化成分をしっかり摂りましょう」
こうした食生活に活躍してくれるのが、下に挙げた4つの水煮缶。
「どれも抗酸化成分を多く含み、サケ缶とサバ缶、大豆缶は良質なタンパク源です。下処理済みなので調理が簡単だし、薄味で加工されているので塩分も抑えられ、アレンジ自在。合わせ技もOKの、まさに“水煮缶四天王”です」
トマト缶
・うま味成分のグルタミン酸が豊富。
・完熟トマトを使用しており、生トマトよりもリコピン(抗酸化作用)が多い。
・トマトの酸味(クエン酸)が食欲増進、疲労のもとである乳酸をスムーズに代謝する。
サバ缶
・良質なタンパク質を多く含む。
・血液の流れをスムーズにするEPA、血圧を下げる成分DHAが多く、善玉コレステロールを増やす。
・動脈硬化を予防するビタミンB2、抗酸化作用があるビタミンEが豊富!
サケ缶
・悪玉コレステロールの酸化を抑制するアスタキサンチン(抗酸化作用)が非常に多い。
・サバ缶同様、EPA、DHAが血液の流れを良くする。
・ビタミンDが多く、骨ごと食べることでカルシウムの吸収を高める。
大豆缶
・植物由来のタンパク質でアミノ酸が豊富。
・大豆サポニン(抗酸化作用)が血液中の悪玉コレステロールを減らす。
・食物繊維の1日の摂取目標である18g以上(18~69歳女性)に対し、大豆缶は1カップで9.5g摂取できる。
Q. 血管力を高めるためには、どんな食生活の見直しが必要?
【減塩】
塩分を摂りすぎると、血液中の塩分濃度を下げるために細胞内から血液中へ水分が移動し、血液量が増えて血圧が上昇。血管トラブルの原因に。「味付けをシンプルにするのが減塩のコツ。薄味の水煮缶を上手に利用しましょう」
【良質のタンパク質を摂る】
タンパク質は、血管の壁を作る細胞膜の主要成分の一つ。「筋肉や髪を構成する組織を作るのに最低限必要なアミノ酸のバランス=必須アミノ酸。サバ、サケ、大豆は必須アミノ酸のバランスを評価したアミノ酸スコアが高いです」
【抗酸化成分と食物繊維を摂る】
血管の細胞の老化を防ぐ抗酸化成分は、ビタミンAとCを緑黄色野菜から、Eをナッツ類で摂取。「植物の色素であるポリフェノールや、ごまのセサミンも有効です。悪玉コレステロールの吸収を妨げてくれる、食物繊維も忘れずに」
Q. 水煮缶が「お酒のおとも」におすすめな理由は?
お酒を飲むと、塩気の強いものや脂っこいものが食べたくなりがち。「どちらも、摂りすぎは血管力を弱らせる原因になります。水煮缶は薄味でもおいしく作れるうえ、お酒の代謝に必要なタンパク質やビタミンB群が豊富。同じくアルコール代謝に必要なビタミンCを緑黄色野菜で補いながら上手にアレンジすれば、健康的なおつまみに」
もり・さやか 女子栄養大学栄養クリニック管理栄養士。医師と提携しながら、生活習慣病予防の相談などに乗る。ヘルシーダイエットコースで調理・栄養相談を担当。
※『anan』2019年11月20日号より。イラスト・酒井真織 取材、文・新田草子
(by anan編集部)
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