「卵ほど変幻自在な食材はありません。華やかに主役を張ったり、揚げ物のつなぎや卵とじのようにまとめ役になったり、ときにはソースやコク出しの調味料として裏方に回ったり。だいたいどの家庭の冷蔵庫にもある卵は、控えめだけど実はすごく頼もしくて、料理には絶対に欠かせない存在です」
そう語る冷水希三子さんが今回教えてくれたのは、朝食におすすめの卵料理。忙しい朝には包丁を使う回数を抑えてささっと手早く完成する作りおき&クイックメニューを。卵の魅力をたっぷりと味わえるさまざまなレシピを紹介。
「卵を調理する上で最も大切なのが温度管理。アレンジ次第でいかようにも姿を変える食材で、もともと火も通りやすい。だからこそ、火力や火入れの時間など温度の扱いを一歩間違えば仕上がりに差が出て、まったく別の食感になってしまいます」
その代表例が、ゆで卵。卵を常温に戻さず、冷蔵庫から出したばかりの冷たい卵を茹でると、たとえ6分半茹でても今回のような半熟にはならず、もっとやわらかい状態に。そして、茹で上がりを氷水で急激に冷やさなければ、殻もむきづらくなる。温度を味方にすれば、つるりと美しい姿の、とろ~りと絶妙な半熟具合のゆで卵が完成する。
「まさに、温度を制する者は、卵を制す(笑)。卵はシンプルで繊細だけど、奥深い食材です」
ハムエッグトースト
【材料/1人分】
油…小さじ2、卵…1個、ハム…1枚、食パン…1枚、塩…少々(お好みで)
【作り方】
- フライパンをよく熱し、油を入れる。中火強にしたら卵を割り入れ、弱火に落とす。
- 半分に切ったハムをのせ、好きな硬さまでじっくり焼く。
- トーストした食パンに1 をのせる。好みで卵に少々塩をする。
【ポイント】
フライパンを十分熱してから卵を割り入れると、白身の縁にフリルが。
焼きトマトとスクランブルエッグ
【材料/2人分】
卵…2個、タイム…2本、レモンの皮…少々、塩…少々、生クリーム…小さじ1、エキストラバージン(EXV)オリーブオイル…大さじ1・1/2、トマト…小1個、白ワインビネガー…小さじ1/2、粗塩…少々
【作り方】
- ボウルに卵を溶きほぐし、タイムの葉、レモン皮のすりおろし、塩と生クリームを加え混ぜる。
- トマトを横2cm厚さに切る。
- 小さめのフライパンにEXVオリーブオイルを大さじ1入れ、中火で1 の卵液を流し入れたら、縁を真ん中に寄せるように混ぜながら半熟に焼いて皿に取り出す。
- 3のフライパンをキッチンペーパーできれいにして、残りのEXVオリーブオイルを加える。2のトマトを上下、ひっくり返しながら焼き目がつくまで焼き、白ワインビネガーを加える。3のスクランブルエッグの上にのせ、粗塩をトマトにかける。
【ポイント】
卵液は縁から中央へ寄せるようにゆっくりと混ぜ合わせるとまとまる。
ゆで卵ピクルスとサラダ
【材料/2人分】
卵…4個、[A:水…240ml、白ワインビネガー…80ml、砂糖…25g、塩…3g、好みのスパイス(ブラックペッパーやマスタードなど)…適量]
好みのサラダ野菜…適量、[B:ヨーグルト…大さじ2、マヨネーズ…大さじ2]
【作り方】
- 卵は冷蔵庫から出しておき、常温に戻す。
- 鍋に湯を沸かし、卵をお玉などにのせて1個ずつそっと入れる。ふつふつとするぐらいの火加減で6分半茹でる。
- 茹で上がったらすぐに氷水にとり、殻をむく。
- Aのピクルス液を合わせ、鍋で軽く沸騰させ、砂糖と塩が溶けたら火からおろす。粗熱が取れたら密閉容器に入れ、3のゆで卵を入れる。冷蔵庫で1日置くのが目安。
- 4の卵と、サラダ野菜を盛り付け、野菜にBのソースをかける。
【ポイント】
殻をきれいにむくコツは、卵が茹で上がったら、即、氷水へつけること。
ひやみず・きみこ 料理家。レシピ作成をはじめ、料理に関するコーディネート、スタイリング、料理教室も行う。近著に『さっと煮サラダ』(グラフィック社)。
※『anan』2018年12月5日号より。写真・津留崎徹花 文・野尻和代
(by anan編集部)
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