
東武東上線・中板橋の駅前にある、小さな町のケーキ屋さん「欧風菓子 白鳥」。お店を開いて60年、多くの種類が並ぶケーキの中でずっと一番人気を誇っているのが、白鳥の形のシュークリーム。この、長く愛されるレトロなスワンシューの人気の秘密とは? お笑いコンビ・たんぽぽの白鳥久美子さんと一緒に、その魅力に迫ります!
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スワンシューを食べに行った人
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開店から60年間、変わらないレシピで作られるスワン

羽が縦に配置されているので、意外と高さがある! シュークリーム ¥380
2枚の羽が上の部分で少しクロスしていて、まさに今飛び立とうとするような躍動感のあるフォルムが素敵なこのケーキ。お店の二代目である白鳥忠光さん(名字が“白鳥”!!)さんによると、基本的にレシピもフォルムも、初代である白鳥さんのお父様が考えたものを、今でもそのまま作り続けているのだそう。
本当にたくさんの種類のケーキが並ぶこちらのお店で、不動の一番人気はこのシュークリーム。白鳥さんによると多い日には300個くらい売れることもあるそうで、品切れるとすぐ同じビル内の工房に追加注文を入れ、閉店までなるべく切らさないようにしているのだとか。「会社帰りにシュークリームを買って帰りたいと思う方もいらっしゃると思うので、そういう方の期待にも応えたいんです」と笑います。
2階にあるパーラーで、紅茶とともにいただきます!

「スワンシュー食べるの、すごく久しぶり。めちゃくちゃ嬉しいです」と、食べる前からニコニコの白鳥久美子さん。
「欧風菓子 白鳥」は、1階がケーキショップ、2階がケーキやお菓子、そしてお茶などドリンクが楽しめるパーラーという構造。パーラーは、レトロなタイルの壁にビロード生地のソファ、そしてかわいい間接照明など趣のある雰囲気が、令和の今にはとてもおしゃれ。取材に訪れたのは平日でしたが、オープン直後から近隣の住民の方が次々と訪れるという人気ぶり。白鳥さんは、ストレートの紅茶とともに、シュークリームを食べることに。
ケーキが運ばれてくるまでの間に白鳥さんのスワンシューへの思いを聞いてみると、「ずっと憧れていたんですよ。ていうか、名字が一緒ですから、憧れないわけがないじゃないですか(笑)。でも私が育った田舎にはいわゆる洋菓子店がなかったので、白鳥の形のシュークリームなんて存在も知らなかったし、テレビで見たときに“こんなものがあるんだ…!!”とびっくりしたのを覚えています」
そしてそして。運ばれてきたシュークリームを見た白鳥さん、「わぁ、なんてかわいい…!」とにっこり。「大学進学で上京した東京で初めて食べたときに、“やっと会えたね”と思った気持ちがよみがえってきました(笑)」。しばし眺めたあと、いざ実食!
生地にはバターとラードを使っているそうで、ふわっと軽いのにコクがあるという絶妙な美味しさ。シューの中に、生クリームとカスタードクリームを合わせたディプロマットクリーム、そして生クリームがたっぷり。「ちょっと懐かしい感じのするシュー生地と、2種類のクリームのバランスがとても良くて、とっても美味しい。クリームが甘さ控えめなところも好きです。軽いし、甘すぎないしでパクっと食べられちゃう。こんなに優雅なケーキなのに、正直私、3個はペロッといける気がします(笑)。そのくらい美味しいです」(白鳥さん)

「ていうか、これが380円ってめちゃくちゃ安くないですか? この町に暮らしたい…」。実はこのあと誘惑に負け、小さなプリンアラモードを食べたことは内緒です。
レトロなかわいさを求めて、なんと週末には行列も

さまざまなケーキが並ぶ華やかなショーケースで、上品な輝きを放つシュークリームたち。
店主の白鳥さんによると、父親である初代は、もともと外のお店でケーキ職人をしており、銀座風月堂でチーフとしてお菓子を作っていたこともあるそう。独立するにあたりどこかいい場所はないか…と探している中で、「縁もゆかりもなかったんですが、たぶんいい物件があったからここにしたんじゃないですかねぇ」(白鳥さん)ということで、中板橋にこのお店を構えたそう。それが1966年のこと。
「最近は、わざわざ電車に乗って、若い方がこのシュークリームを食べに来てくれるんですよ。週末は並んで待つ人もいたりして…。あと、外国のお客さんも増えましたね。うちは週末に、中国人と韓国人のアルバイトさんが入ってくれるんですけれど、お客さんも中国と韓国の方が多いので、とても助かっています(笑)。若い世代は、クリームソーダと一緒に食べる人が多いですね。みんなかわいい、かわいいと言って写真を撮っていますが、うちは60年前からあまり変わらずやっているので、なんだか不思議な気持ちですね(笑)」

ショーケースに並ぶシュークリームを見て、「一羽一羽、全然顔が違うんですね。女の子っぽい子もいれば、男の子っぽく見える子もいる。見飽きないです」と白鳥さん。右は、店長の白鳥さん。
目にも止まらぬ速さで完成。驚きの職人技!

さて、ケーキをおいしくいただいた後はシュークリームづくりを見せていただけることに! ワクワクしながら、パーラーの上の階にある工房におじゃましました。大きな窓から自然光がたっぷり入る、とても気持ちの良い空間。
今回拝見させてもらうのは、焼き上がったシュー生地にクリームを絞り、スワン型に組み立てていく工程。菓子職人の増渕さんに、その技を見せていただきます!

店名が入ったアルミの板重に並んでいるのは、白鳥の体と羽になるシュー生地。葉っぱのような形に生地を絞って焼くのだとか。この状態だと、まだ全然“白鳥感”はないですね…。

こっちの板重には、首のパーツがたくさん! まるでクッキーみたい?
切って絞って…。白鳥型シュークリームができるまで。

粉砂糖でお化粧をして、できあがり。なんとも優雅! そして、驚くほどにあっという間! 体感10秒です。

完成したシュークリームを、職人さんと見つめてうっとり。
組み立てるポイントを伺うと、「羽がしっかり立っているというか、寝かさないように、ということは意識しています。水面で休んでいる白鳥というよりは、飛び立とうとしている躍動感を表現したいですね。難しさ…? うーん、あんまり考えたことがないけれど、いつものリズムでサッサッとやることが大事なんじゃないかな。今日みたいに撮影のためにゆっくりやってって言われると、逆に緊張して調子が出ないね(笑)」とのこと。「シュークリームを作っていて楽しいこと? そんなにないよ〜」と笑う増渕さんでしたが、その照れ笑いの向こうに長年スワン型シュークリームを作ってきたゆえに、あえて大きなことは言わないという誇りが見えました。
「私は昔から『ベルばら』とか乙女ちっくなものが大好きで、スワンのシュークリームはまさにその極北で、本当に、お姫様とか貴族のお菓子みたいって思ってたんです。マリー・アントワネットが食べてたんだろうな…みたいな。私もいつか作ってみたいと思っているんですが、作っているところを見せていただいて、ますますその気持ちが強くなりました」(白鳥さん)。
取材の最後、白鳥さんはスワンシュークリームの柄のお店オリジナルのトートバッグを購入。「これ、究極の白鳥(しらとり)グッズじゃないですか! こんなの見かけたら、絶対欲しくなっちゃいますよ」とにっこり。

工房にて、「羽の広がり方が、こういう感じですよね」と体で体現する白鳥さん。
Infomation

欧風菓子 白鳥
東京都板橋区弥生町31-15 TEL.03-3958-4425 営業時間 10:00〜20:00 水・第1・3木曜休
写真・坂本美穂子 スタイリスト・山崎由佳 取材、文・河野友紀










































