
中国を起源に古くから世界各国で食べられてきた餃子やそれに類するもの。餃子が世界で親しまれているのはもしかして完全栄養食だから…? 人々の生活に密着し親しまれてきた餃子について、栄養学と雑学の観点から8つのトピックに分けてご紹介。
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お話を伺った方々
Profile
安中千絵
管理栄養士、フードディレクター。キャセロール代表。レシピ開発やセミナーなど“食べて健康”に特化したサービスを提供。台湾在住経験があり、餃子は茹で派。最近の推し具材はセロリ。
塚田亮一
「東京餃子通信」編集長。「餃子は完全食」をモットーとして年間300食餃子を食べる。目下の推し餃子は「鶯谷の『VEGAN GYOZA』。肉入り餃子に寄せていかない姿勢が潔くていい(笑)」。
Topic 1. 餃子に含まれる三大栄養素とは?

野菜と肉のあんを小麦粉で作った皮で包む餃子は、おいしいだけでなく実は栄養価も優秀なおかず。
「筋肉を作るタンパク質、細胞やホルモンの素となる脂質、エネルギー源となる炭水化物。これが食品の三大栄養素。餃子は具の肉にタンパク質と脂質が、焼き油にも脂質があり、そして皮は炭水化物でできている。まさに三大栄養素をすべて含んだ食べ物なんです」
と管理栄養士の安中千絵さん。となると、これはもはや完全栄養食なのでは…?
「餃子だけで1食分の必要量がまかなえるかというと難しいですが、一品でここまで栄養を摂れるおかずは珍しいです」
特にあんの主役となるニラやキャベツ、豚肉には食物繊維やビタミンが豊富に含まれる。
「ご飯をプラスする日本の食べ方は理に適っています。また女性が不足しがちなカルシウムや鉄分を補う意味では、あんに干しエビや小松菜などをプラスするのもおすすめです」
Topic 2. 脂質を抑えたいなら水餃子

栄養満点の餃子だが、焼き餃子はカロリーが気になる人も多いはず。
「お店で食べる餃子はたっぷりの油で焼いているのでカロリーも高め。家ならテフロン加工のフライパンを使うなどの工夫で油の量は抑えられます。でもおすすめは茹でて作る水餃子。焼き餃子だと1人前は平均で6個ほど。となると炭水化物が少し足りないのですが、水餃子ならつるりとした食感で数が食べやすい。カロリーは抑えつつ個数は食べられるので栄養価が高まります。餃子で1食分をまかなうなら10個ほど食べるのが理想」(安中さん)
中国や台湾などの中華圏ではポピュラーな水餃子。
「現地では旬の青菜を使った料理を合わせるのが一般的。香菜など香味野菜をたっぷりとのせて食べるのもおすすめです。その食べ方にならえば、ビタミンや食物繊維も補えます」
Topic 3. 少量からでも。いつでもいけるフレキシブル食

いつでも、いくつからでも食べられるのも餃子の魅力。
「忙しい時でも、水餃子ならぱっと茹でるだけで肉も野菜も摂れるので実は朝食に餃子、アリです。市販品はもちろん、多めに作った時に冷凍しておけば少量から使えて便利」(安中さん)
最近は昼に餃子派も増え、ニンニク抜きがトレンドに。
「市販品でもニンニク抜きは増えていて、私自身もショウガの効いた浜松餃子のファンです。夜はビールと合わせたいという人が多いと思いますが、チャージ&デトックス的にはお酒のカロリーに注意。ハイボールなど、糖質やカロリーの低いお酒を選ぶといいのですが、それでもビールと焼き餃子という場合は餃子の個数で調整するのが大事」
個数調整が自在なのは餃子の意外なストロングポイント!
Topic 4. 粉ものは世界各地で包みがち

中国からシルクロードを通り世界に伝わったとされる餃子。どんな地域の産物も受け止める。その包容力も餃子が世界に広まった理由の一つ?
「モンゴルなら羊肉、中央アジアではヨーグルトをかけたりと土地の産物と組み合わせて発展してきました。日本には戦後に中国から伝わったといわれていますが、それも戦後の食材不足の中、手に入るものを包めばおいしく作れることで根付いたのだと思います」(塚田亮一さん)
さらに世界を見渡せば、ロシアのペリメニやイタリアのラビオリなど、シルクロード外にも小麦粉包み文化は存在する。
「トルコ周辺までは中国由来といわれていますが、その先は諸説あり…。ただ僕が考えるに小麦がとれたら粉にして練るし、そしたらもうそこにある食材を包んじゃうでしょっていう人間の本能的に作ったものが、今の世界の包み文化の根源だと考えています(笑)」
Topic 5. 汁物におかずに。ちょい足しで栄養も+α

メインおかずとして食べるだけが餃子にあらず。
「私はスープの具材として使っています。鍋やお吸い物に入れるのもいいですね。その際も、ビタミンとして青菜やおいもを一緒に入れると、栄養価も満足度も上がりおすすめです。また野菜、肉、炭水化物が含まれているので、おかずがあと一品足りない時の副菜にするのもおすすめ。餃子を作る時もお取り寄せする時も、少し多めを心がけて冷凍ストックに回すようにすると、未来の自分が助かります!」(安中さん)
Topic 6. 餃子の「餃」が示す「交流」

「食」に「交わる」と書く、餃子の“餃”の字。
「字が表す通り、交流の食べ物」と塚田さん。
「発祥は中国だといわれていますが、そこからシルクロードを通って小麦粉を練って包むという食文化が広がり、今も世界各地に餃子的な食べ物があるんです。そして身分に関係なく愛されるのも餃子の特徴。庶民の味として親しまれるのはもちろん、なんなら一緒に埋葬しちゃうほど王侯貴族たちにも愛された(笑)。実際新疆ウイグル自治区などの古代の墳墓からは餃子の形の化石が見つかっています」
そして中国では古くから春節の集まりに、そして令和の日本の“ホムパ”でも…と、古今東西人の集まるところに餃子あり。
「おしゃべりしながら包んで焼いて、食材も混ぜて、交わって。餃子はおいしいだけでなく、最高のコミュニケーションツールでもあるんです」
Topic 7. 餃子は主食かおかずか? それが問題だ

日本では定番の焼き餃子+白米の組み合わせだが、中国では水餃子を主食とするのが主流。
「というのも中国では、餃子は麺類の1カテゴリー。中国の餃子は皮が分厚いものが多いのですが、それも皮を麺として捉えるからこそ。確かに麺と考えると、日本のように白米と一緒に食べれば主食+主食になってしまうじゃないかと。何より野菜、肉、小麦粉と三拍子揃った(ほぼ)完全栄養食。だからこそ食事が餃子のみの場面も一般的です」(塚田さん)
では日本ではなぜここまで、おかずスタンスの焼き餃子が広まったのだろうか?
「コメ文化の影響で、白米に合わせたかったのでしょうね。それなら皮は薄くして、油で焼いたほうがご飯に合うよねと」
中国では主食(麺)、日本ではおかず。食べ方の違いこそあれ欠かせない定番であることは共通のようです。
Topic 8. 西に行くほど小さくなる説

人気全国区の餃子だけれど、そのスタイルはさまざま。
「全国的には繁華街と歓楽街に餃子店が多いです。例えば福島駅周辺などは顕著で、飲みに行く前の軽食に。そして餃子の街は西に多い傾向ですが、西に行くほど薄皮で小さくなりがち。酒のつまみとして餃子カルチャーがあるからでは」(塚田さん)
大阪北新地のひとくち餃子しかり、祇園のおちょぼ口餃子しかり。では家庭の餃子も、西に行くほどミニサイズになる?
「そこは比例しないのが面白いところ。実際、関西のスーパーで餃子の皮のサイズを調査すると、東京のそれと変わりませんでした。でも九州のスーパーでは東京でいう普通サイズが“大判”だったんです! 西に行けば小さくなるのはやはり家庭にも言える法則なのかも?」
anan 2506号(2026年7月29日発売)より
































