2023年にパリで幕を開け、ミラノ、ソウルと巡回中の現代美術家、ロン・ミュエクの大規模個展が日本にやってくる。会期は4月29日(水)〜9月23日(水)で、場所は六本木の森美術館。今回は、総作品数が50点しかないミュエク作品が11点も、うち6点は日本初公開となる。
超現実の身体作品が問いかける、ロン・ミュエクの死生観
オーストラリア出身の現代美術家、ロン・ミュエク。その大規模個展が森美術館とカルティエ現代美術財団との共催で開催される。
ロン・ミュエクはオーストラリア・メルボルンに生まれ、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を追求してきた人物。1986年よりイギリスに在住し、映画・広告業界で20年以上のキャリアを積んだ後、’90年代半ばに彫刻の制作を開始。
’97年、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展に出品した《死んだ父》が注目を集め、一躍国際的な評価を得た。以来、世界各地の名だたる美術館で作品を発表。日本では十和田市現代美術館に常設されている《スタンディング・ウーマン》が有名だ。

《エンジェル》1997年 個人蔵 画像提供:アンソニー・ドフェイ(ロンドン)
2023年にパリで幕を開け、ミラノ、ソウルを巡回した本展は、総作品数が50点しかないミュエク作品が11点も、うち6点は日本初公開となる。特に初期の代表作《エンジェル》を目撃できるのは貴重だ。

《マス》2016-2017年 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館
今回の目玉となるのは、巨大な頭骸骨の彫刻100点で構成されるインスタレーション《マス》だ。この作品は毎回、美術館の展示空間に合わせて再構築され、森美術館でも約300㎡にも及ぶ圧巻の仕上がりとなっている。また、フランスの写真家・映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる、作家のスタジオと制作過程を記録した写真と映像作品もあわせて展示され、ミュエクの作品がどのように生み出されるのか、その過程にも光を当てる。
人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ね、皮膚の質感、毛穴、血色、シワまで徹底的に再現した彫刻を制作するミュエク。その作品は生命感に溢れ、孤独や脆さ、弱さといった人間の感情や人生の体験を巧みに表現する。実際より巨大に、または極小にデフォルメされた作品群を見れば、生命とは何か、人間とは何か、に自然と考えが及ぶ内容だ。
information
ロン・ミュエク
森美術館 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F 4月29日(水)~9月23日(水)10:00~22:00 ※5/5・8/11・9/22を除く火曜は~17:00(入館はいずれも閉館の30分前まで) 会期中無休 一般2,300円ほか TEL. 050-5541-8600(ハローダイヤル)
anan 2493号(2026年4月22日発売)より


















