国内外の出版社やアートギャラリーが集まり、出版の文化を紹介&交流するアジア最大級のアートブックの祭典、TOKYO ART BOOK FAIR。今年で15回目を迎える本イベントが、初めて2週にわたって開催される。週末ごとに出展者を入れ替え、各週約280組、合計約560組が出展する。


アジア最大級のアートブックフェアが期間を拡大し開催

本イベントの目玉といえば、ひとつの国や地域に焦点を当てる企画「ゲストカントリー」。今回の特集はイタリア。1966年から1977年にかけての社会運動・芸術運動・政治運動を背景にイタリアで制作された新聞や雑誌、パンフレットなどを収録した作品集『YES YES YES Revolutionary Press in Italy 1966-1977』について、展示を通して理解を深めてゆく。

また1978年から2006年にかけて刊行されたイタリアのZINEを紹介する『OUT OF THE GRID:Italian Zine 1978-2006』では、イタリアにおけるインディーズ出版の歴史を批評的に紹介。さらにブルーノ・ムナーリ、エンツォ・マーリ、エットレ・ソットサスらの絵本を多数刊行する出版社コッライーニ・エディツィオーニの展示では、本を拡大し、まるで物語の中に入り込んだような楽しい空間が広がる。

ほかにも、世界の難民のポートレートや「大切なもの」を記録したホンマタカシの作品展「SONGS──ものが語る難民の声」にも注目。バングラデシュ・コロンビア・日本の3か国で暮らす難民や国内避難民の姿を写した写真には、今の世界情勢を考えさせる衝撃がある。

フェアを巡る際に一息つくなら、屋外の「アウトドアラウンジ」もおすすめ。ここにはキッチンカーが登場し、ドリンクや軽食、スイーツなどが販売される。空間演出はアートユニットのエルパックが担当。まるで異国の蚤の市のような、にぎやかな雰囲気を楽しむことができる。週末のひと時を過ごすイベントとして、ぜひ出かけてみて。

『YES YES YES Revolutionary Press in Italy 1966-1977』の印刷物の一部を展示し、時代の姿を紹介する。Rosso, anno III, nr. 10-11, 1976

五味太郎など日本でも有名な作家の作品を数多く出版するコッライーニ・エディツィオーニ社の展示もユニーク。Courtesy of Corraini Edizioni

イタリアの企業がアーティストや写真家と共に本を制作してきた歴史を紹介する「Marchette」のコーナーも。

ホンマタカシがバングラデシュ・コロンビア・日本で暮らす難民を訪ね彼らの「大切なもの」を作品に昇華。ⒸTakashi Homma

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information

TOKYO ART BOOK FAIR 2025

東京都現代美術館 企画展示室B2、エントランスホールほか 東京都江東区三好4-1-1  12 月11日(木)~14日(日)、19日(金)~21日(日)11時~18時(12/11・19は12時~19時、最終入場は閉場の30分前まで) 会期中無休 オンラインチケット(日時指定)一般1165円、当日券一般1200円ほか https://tokyoartbookfair.com/

文・山田貴美子

anan 2475号(2025年12月10日発売)より
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No.2475掲載

恋と運命。

2025年12月10日発売

弊誌恒例の占い特集の最新版。新たな時代の幕開け、2026年前半の行方を人気占い師たちが導きます。G・ダビデ研究所、星ひとみ、鏡リュウジ、Keiko、石井ゆかり、水晶玉子など超豪華ラインナップです。

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