
背筋さん
あなたも偏愛ホビーを見つけたくなるかも!? あの人が語る、偏愛ホビー2025。作家の背筋さんがホラーゲームの魅力について熱く語ります。
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Profile

背筋
せすじ ホラー作家。主な作品に『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA)など。展覧会「1999展 -存在しないあの日の記憶-」の企画に携わるなど活動の幅を広げている。
ホラゲは趣味というか、生活の一部ですね
不穏な空気の漂うホラー小説で知られる作家の背筋さんは、大のホラーゲーム好きでもある。
「初めて触れたホラーゲームは兄が買ってきた『クロックタワー2』です。ポイント&クリックみたいな独特のシステムでキャラクターを動かし、シザーマンを撃退しながら逃げるのですが、ハサミのシャキーンという音がすごく嫌な感じでした。ミステリー要素があるストーリーも面白かったです。
最近熱いのは『SILENT HILL f』。世界観やキャラクター造形がこれまでのシリーズとまったく違って驚きましたが、プレイするとまごうことなき『SILENT HILL』。換骨奪胎の妙を感じました。今は2周目をやっている最中で、ネタバレになるから詳しくは言えませんが、新しくて尊い体験をしているなと感じます。ホラゲは趣味というか、生活の一部ですね」
今秋、自身が手がけたホラーゲーム『まだ猫は逃げますか?』を発売。
「単純に物語として面白いものを追求できたことがありがたかったです。プレイヤーが、中にシナリオが書かれたアイテムを集めることでクリアに近づきますが、アイテムを付属品ではなく、物語を展開するものとして描いたのが特徴です」
Information

『まだ猫は逃げますか?』
猫を操作して古民家の中でアイテムを集め、とある家族の「記憶」を読みながら怪奇現象の真相に迫る。探索ステルスアクションゲーム。¥1,200/※PC(Steam)対応
背筋さんもハマる! いま熱いホラーゲームの深淵を覗いてみよう!

これまでに遊んだホラーゲームを持ってきてくれた背筋さん。それぞれの魅力をいきいきと楽しそうに話す姿にホラゲへの愛を感じる。
ホラゲ2選
数々のホラゲをプレイしてきた背筋さんの心を強くキャッチした、ストーリーやビジュアルにも惹きつけられる2作品を紹介します。

『SIREN』/群像劇で描かれる難解なストーリーと奥深さに夢中に。敵の視点を乗っ取る“視界ジャック”というシステムや複雑なストーリーが話題となった名作。「めちゃくちゃ怖くて“ここから進みたくない”と思う初めての体験をしました。難しいからこそ燃えるし、群像劇で織りなされるストーリーに考察欲を煽られます。当時はネットも発達しておらず、必死にプレイして、やり込むほどに点と点が繋がるのも面白かった。藤田新策さんの不穏なパッケージイラストも大好きでした」/PlayStation(R)2用ソフトウェア『SIREN』(C) 2003 Sony Interactive Entertainment Inc.

『アリス イン ナイトメア』/狂った童話の世界観に引き込まれたタイトル。『不思議の国のアリス』を下敷きにしたダークファンタジーホラー。火事で家族を亡くしたショックで精神病院に入院したアリスは、再び不思議の国に誘われる。「チェシャ猫の感じなどルックが好きで買ってもらいました。初回特典についてくる精神病院の監察医の手記の冊子が、ゲームで描かれる世界に広がりを持たせるヒントにもなっていて。メディアミックスなんてない時代に、付録でそれをやってのけるのも面白いと思いました」/(C) 2000 Electronic Arts Inc.
最近買ったおすすめホラゲ
宗教をテーマに現代を見つめる。作家性を強く感じるインディーゲームをチョイス。

『INDIKA』/強烈なメッセージをシニカルに描く。修道女のインディカが心の内に潜む悪魔と対話しながら旅をする。「映画のようです。お祈りなどで溜まる“経験値”という尖ったシステムを通じ、信仰とは何かを考えさせられる。ロシアから亡命したクリエイターによる作品だという文脈もポイントです」/(C) 11 BIT STUDIOS S.A.. ALL RIGHTS RESERVED.
初心者におすすめしたいホラゲ
スキル不要で普段ゲームをしない人でも楽しめる、ストーリーに魅了される作品。

『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』/完成されたストーリーと謎解きを味わって。呪いの力を持つ9人の登場人物が「蘇りの秘術」を得ようとするホラーアドベンチャー。「謎解きがメインとなり、怖いよりも“この先どうなるか気になる”という面白さが勝つ、シナリオが魅力的なホラゲです。ゲームスキルが要求されないので遊びやすいはず」/(C) SQUARE ENIX
シンプルに怖かったホラゲ
うんざりするほど恐怖心を煽られた、一人称視点のサバイバルゲーム。

『OUTLAST』/プレイするのが嫌になるほどの恐ろしさ! 精神病院を舞台に、敵から逃げ回りながら脱出と事件の真相究明を目指すサバイバルホラー。「すごく怖いし、暗視カメラのバッテリー用電池を探すタスクもあり、“何でこんなことしなきゃいけないのか?”と、途中で嫌になりました(笑)。そして、本当にグロいです」
シンプルに怖かったホラゲ演出
思わず“おお!”と唸るような、秀逸な音楽演出が楽しめる名作。

『ナナシ ノ ゲエム』で流れるBGM/次第にバグり始める音楽が不穏な空気を煽る。プレイすると1週間以内に「死」に至るという「呪いのゲーム」の謎を解く。「レトロな8ビットサウンドが、だんだん歪み、壊れ、禍々しく変容していく演出にしびれました。グッドエンディングで流れる別サウンドのバージョンも好きです」/(C) SQUARE ENIX
anan 2473号(2025年11月26日発売)より



























