大幅な改稿をとげて、一つの物語として誕生。
連載開始から7年。ほぼ1年に及ぶ改稿作業を終え、ついに刊行される『ミアキス・シンフォニー』。連載時は、8000字ほどの字数で、短編としても楽しめる内容だった。一冊の書籍にするにあたり、全体の構成を見直し、細部に手を入れた加藤シゲアキさん。
登場人物の個性を際立たせ、無駄をそぎ落とす作業には、この年月の間に作家として成長し続けた著者の熱がこめられた。
Message from Shigeaki Kato
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「ミアキス・シンフォニー」の連載が始まったのは2018年4月でした。あれから刊行まで7年弱。作家人生で最も時間がかかった作品です。
その間、世界も社会も、私に関しても個人としても作家としても、ありとあらゆることがありました。連載を終えてもなお改稿を続け、刊行までの時間をさらに要したのは、なにを書くべきか私が迷い続けたからです。完成するのか不安でしたが、私はふと思いました。迷い続けたまま終わらせてもいいんじゃないか、と。小説とは常々、答えではなく問いだと考えています。そしてこの小説のテーマのひとつでもある“愛”もまた、問いなのではないかと、書きながら感じました。
そう気付くとすらすらと書き進めることができ、私はついに「了」という文字を入力しました。書き上げた今はすがすがしく、愛に満たされた気分です。最高のものができたと、空に向かって叫びたいほどです。さまざまな人物が現れるこの群像劇が、読者にどう読まれるのか楽しみで仕方ありません。この作品は、私をまた新たな境地に連れていってくれました。どうか多くの方に手に取ってもらえることを願っています。
発売のタイミングで、さまざまなイベントが!
本日から、加藤さんがサインと、猫or犬などのイラストを入れた「ポスター」が一部書店にて掲示されます! また、anan×『ミアキス・シンフォニー』のパネル展や、フリーペーパーなど、楽しい企画も! 詳細はぜひ、公式サイトを覗いてみてください!
ヒグチユウコさんが描いたミアキス装画を特別公開!
昨年の12月25日、加藤さんのXでポストされた書影には、大きな反響があった。著者自らの願いであったヒグチユウコさんの描く装画は美しく、かつ作品の世界観を実にバランスよく描き出している。猫と犬の共通祖先であるミアキス。生命の循環を感じさせる植物も鮮やかに物語を彩る絵に小説への期待はいよいよ高まる。今回、特別にデザイン前の装画を掲載! 細部まで味わって。
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From Kato
圧巻のあまり、しばし放心しました。 僕はヒグチさんの『せかいいちのねこ』を読んで以来のファンなのでかなり期待していましたが、やすやすとその期待を超えていただき、本当に感謝しています。この作品はヒグチさんに装画を描いていただくことで完成したのだと、今はただただ感慨にふけっております。
猫でもあり犬でもあるミアキスの顔と女性のなんともいえない顔が呼応しているようにも見えてきました。なんともすごい作品です。
From Higuchi
依頼をいただいた時、ミアキスの名前を見てすぐに描きたい! と思いました。
常々描きたいと思っていたモチーフですが、なかなか手を出すことができずにいました。
素敵なご依頼とても嬉しかったです。
写真・鳥羽田幹太 中島慶子(本) スタイリスト・吉田幸弘 ヘア&メイク・KEIKO(Sublimation)
anan 2436号(2025年2月26日発売)より