ゆっきゅんの連載「ゆっきゅんのあんたがDIVA」。映画監督の山中瑶子さんを迎えての第1回目をお届けします。


みんなが遊び心を忘れないいい現場で仕事がしたい!

ゆっきゅん:私は以前、山中監督の『あみこ』の舞台挨拶をポレポレ東中野に観に行っているんですが、挨拶したのは先日がはじめましてでしたよね。

山中瑶子:実は、そうかもしれないですね。

ゆっきゅん:『ナミビアの砂漠』はもともと観るつもりだったので、パンフレットの執筆依頼が来た時、すぐ「やります!」と返事しました。

山中瑶子:その節はありがとうございました! ゆっきゅんが以前「取り乱している女性の映画が観たい」みたいなことを言っていた記憶があって、書いてくれるんじゃないかと思ってオファーしました。

ゆっきゅん:まさか監督自身が推薦してくれたとは! それで言うと私は“はみだしている女性”が好きで、最近好きな映画を聞かれたら「女性が再出発する映画」と答えるようにしています。

山中瑶子:あ、再出発か(笑)。

ゆっきゅん:『ナミビアの砂漠』は再出発系じゃないですけど、本当に取り乱していますよね。そこには監督の目線がちゃんと入っていて最高でした。社会に対して人が適応すべきだという意図の作品を観るとぐったりしちゃうんだけど、主人公のカナはただこの世界に存在してくれて。それがすごく嬉しかったです。

山中瑶子:そうですね、適応すべきとは一切思っていないです。

ゆっきゅん:「キャンプだホイ」のシーンなんかすごいですよね。大好き。

山中瑶子:あの歌、私知らなかったんです。現場で美術部のスタッフが歌っていたのを聴いて、すごくいい歌詞だなと思って。その場で知ってるスタッフみんなが歌ってくれて感動しました。急遽取り入れたくなって、河合優実さんと唐田えりかさんにも知っているか伺って、録音させてもらったんです。

ゆっきゅん:まずそのエピソードがヤバいですよね。いい現場すぎるって思います。だって美術部のスタッフが「キャンプだホイ」を口ずさむことができる現場で撮られた映画なんだって思うだけで感動しちゃいますもん。監督や演者が歌うならまだしも、いちスタッフが歌っていて、監督がそれを採用しようとするって、すごくいいチームを作っているなと思いました。

山中瑶子:たしかに現場はいい雰囲気でしたね。良すぎて私もびっくりしました(笑)。違う方向を向いているみんなが頭のてっぺんだけ透明な糸でつながっているみたいに、自由だけどやることはやるという人たちでした。

ゆっきゅん:遊び心を持った大人たちの現場って楽しいですよね。私もそんな現場だけでやっていきたい!

Profile

山中瑶子

やまなか・ようこ 1997年生まれ、長野県出身。初監督作品『あみこ』が第39回PFFアワード2017で観客賞を受賞。最新作『ナミビアの砂漠』は第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞に輝いた。テレビドラマの監督も手がける。

Profile

ゆっきゅん

1995年、岡山県生まれ。2021年からセルフプロデュースで「DIVA Project」をスタート。セカンドフルアルバム『生まれ変わらないあなたを』が発売中。インスタ、Xは@guilty_kyun

写真・幸喜ひかり 文・綿貫大介

anan 2435号(2025年2月19日発売)より

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