バイクアナ・平松修造さんに聞く! 〈箱根駅伝〉実況の裏側&見どころ

エンタメPR箱根駅伝
2024.12.24

日本テレビアナウンサー。学生時代は陸上競技部に所属。入社前の夢が叶い箱根駅伝の実況は8年目。「箱根駅伝は趣味! 特技! 仕事! 全てです」

本番に挑むため1年をかけて選手を取材。当日も一番身近で選手を実況する、バイクアナ・平松修造さんに箱根駅伝実況の裏側から、当日の見どころまで、“初見”の読者も引きつけるポイントをご紹介します。

INDEX

    エントリーする21チーム、各16名を総力取材した実況トークにも注目

    ずっと箱根駅伝を担当したくて、入社試験の時から言い続けていたという平松修造アナ。前回大会から移動車実況の担当になり、感動した景色があるという。

    「移動車実況って駅伝実況の花形だと個人的には思っているので、担当になった時はめちゃくちゃ嬉しくて、忘れられない景色があるんですよ。大手町のスタートラインを左にカーブしてバーッて一斉に21人のランナーが 日比谷通りに出てきた時の、あの景色というのはすごく壮観で、“この場面を見たくてこの会社に入ったんだ!”と感動しましたね。中継されるそんなスタートの景色もぜひ楽しんでもらえたら」

    「担当アナウンサーと手分けして全ての選手を取材します。膨大なメモは共有しつつ、自分だけの温めたメモを当日発表することも」

    1年間、各大学の練習場やレース会場に出向き選手を取材、実況の中で必ず伝えることがある。

    「選手の出身地は必ず言うようにしています。箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟が主催なので、関東の大会なんですけど、箱根駅伝に出ることを夢見て、故郷から上京してきて、親元を離れて寮に入る人たちもたくさんいるんです。なので、どんな思いで関東に出てきたのか、ということを伝えるようにしています。例えば、新潟県、人口何千人の、雪深い○○村の出身ですとか、雄大な立山連峰を望む富山県の○○市の出身ですと言うことによって、観ている皆さんの故郷にも思いを馳せたり、選手がすごい思いを持ってこの正月の箱根路に臨んでいるんだなということを感じてもらえたらと思います」

    出場21チーム全てのエントリー選手16名を網羅する、地道でていねいな取材力にも驚く。

    「箱根駅伝は、アナウンサーが大体20名くらい関わっているんですけど、出場する可能性のある全選手に対して、全員対面取材をして、前回の優勝校から関東学生連合の皆さんまで、誰が来てもいいように資料を作って臨 みます。共有した取材メモ以外に、自分しか持っていない情報を本番でここぞという時に出すこともあります」

    街から相模湾、箱根路までの変わりゆく風景も見どころポイント

    関わるアナウンサーは、箱根駅伝のコースを最初から最後まで全部歩いて、下見もするのだそう。

    「1回では無理ですけど(笑)、コースの風景を目に焼き付けます。湘南のほうに出て、水平線と空の境目がわからないほど素敵な景色だなとか、箱根の山を見ながら風が強いなと感じ、うろうろしながら取材してますね」

    「バイクで6時間くらい走りながら実況するので、風に吹かれたり雨に打たれると、とにかく寒い。カイロをペタペタ貼って防寒します」

    取材に裏打ちされた言葉のチカラは強く、実況と選手の走りがリンクして感動を呼ぶことも。

    「実況の時はレースを伝えるのはもちろん、例えば繰り上げ出発の時に、たすきが間に合わなかったという悲しさ、辛さを伝えるだけじゃなく、その裏にある選手たちの思いを伝えるのがいちばん大事だと思っています。取材メモもありますけど、あの時悔しくて泣いてたなとか、予選会ですごく喜んでたな、とかいう光景を覚えているとそれが自然と言葉になったりする。レースは生き物なので、その場で見て感じた言葉が出ることも多いですね。選手をいちばん近くで見ているので、選手のかけひきや、息遣い、足音も聞こえる。特等席ですほんとに」

    バイクの後ろで、ラップタイムを計るストップウォッチを首から複数下げての実況は、過酷な状況とも。

    「前回は雨も降ってめちゃくちゃ寒かった。資料は水滴で見えないしタイムをメモする場所がない、メガネも曇ってウェアも濡れて。“バイクどうぞ”と言われて、喋んなきゃ、みたいな(笑)。言葉は出てきます!仕事なんで」

    「水分を控えているので終了後のビールは格別。胃の形がわかるほどに入っていきます」。後ろはサブアナの渡邉結衣アナ。

    箱根駅伝を支える“学連幹事”って? 平松アナがインタビュー

    箱根駅伝を支えるのが、関東の学生を中心に構成される「関東学生陸上競技連盟」の幹事たち。役割は? 分担は? 当日の成功のための学生たちの努力を、平松アナが深掘りします。

    平松アナと、学連幹事の皆さん。(写真左から)中山葉音さん(上智大学)、加納咲楽さん(早稲田大学)、金子帆夏さん(法政大学)、次呂久直子さん(東海大学)、中野日香理さん(日本女子大学)、目黒亜実さん(駒澤大学)、松尾航さん(東洋大学)

    箱根駅伝に向け、委員会が立ち上がるのは8月末から

    平松

    学連の皆さんは学業との両立でかなり忙しいと思いますが、箱根駅伝の初動はいつくらいから?

    次呂久

    最初の動きでいうと、8月の最終週に毎年箱根駅伝の実行委員会というのが立ち上がって、そこから動き出します。関係各所に挨拶に行ったり、打ち合わせしたり、本格的には予選会が終わってから本選に向けて一気に、という感じですね。

    平松

    担当部署みたいなものも決まる?

    中山

    はい、競技委員会、広報委員会、総務委員会、アンチドーピング委員会などが立ち上がります。

    平松

    会社ですね(笑)。

    金子

    学生とOB、OG入れて150名くらい、6つの委員会に分けて活動します。

    「当日は予想以上の暑さで、走り終えた選手の医務対応もあり、発表直前までバタバタでした。気づいたら発表の時間になって、呼び出されてそのままステージに上がったという感じで、緊張する暇もなかったですね」(学連幹事・次呂久さん)

    平松

    学連の業務というと、やはり予選会のアレですよね? 幹事長の。

    次呂久

    予選会通過順位を壇上で発表します。発表がいちばん見えるところではあるんですけど、予選会はそこに向けてほんとに何ヶ月も前からみんなで準備してきているので。

    平松

    私はアナウンサーですけど、私だったら言えないなって。何百人のある意味運命がかかってるわけじゃないですか。

    次呂久

    発表する私も緊張するのかなと思ったんですけど、あの場に立ったら想像以上に人が多すぎて …。当日天候もかなり暑くなって、医務対応の選手がいたりで慌ただしい中での発表でした。

    平松

    箱根駅伝のポスターも制作を?

    中野

    はい。学連で制作します。写真は大手町のスタート風景をメインに、どの大学も不公平感がないよう、選手写りとか、かなり時間をかけて選びますね。

    「予選会のプログラムや箱根駅伝のポスター制作もやります。ポスターは1区のスタート写真を必ず載せるようにしていて、全員が平等に見えるように、喜んでもらえるように細心の注意を払いながら写真を選んで作成します」(学連幹事・中野さん)

    選手が走った後は即、撤収。レース結果もニュースで

    平松

    本選のスタートは緊張すると思いますが、どんな業務を?

    金子

    読売新聞本社前から選手をスタート地点に誘導するんですが、“いよいよはじまるんだ”と緊張する瞬間でもあります。

    平松

    各中継所ではどんなことを?

    加納

    各中継所では選手のスタート前の招集を行います。選手が正しいアスリートビブスをつけているか、またユニフォームチェックもやりますね。

    平松

    ユニフォームチェックとはどんなことを?

    中野

    各大学がきちんとユニフォームを着ているかとか、スポンサーにも日本陸連の規定があるので、規定通りの着用物をつけているかなどをチェックします。

    平松

    スタート地点に立ってからトイレに行きたいという選手もいますか?

    松尾

    たまにいますね、緊張するタイミングなので。そんな時も「通りますっ」と言いながら、私たちが誘導します。

    「箱根駅伝往路当日は、7時50分が招集完了時刻で、それに間に合うように読売新聞本社前から選手をスタート地点に誘導。招集の前には、全出場チーム監督を運営管理車に誘導して乗せたり、初日のスタート前は緊張の連続です」(学連幹事・金子さん)

    平松

    駅伝を楽しむ時間はほとんどないという感じだね?

    目黒

    箱根駅伝は、私たちは中継所にいるので一瞬なんですよ。レースの様子とかはわからないし、夜ホテルに着いて、それこそニュースで結果を知るということもあるので。展開がわからないんです。“あと1km通過しました”という連絡が来て、これから来るんだなと思ってその20分くらいわーっと忙しくなって、規制解除されてから急いで片付けて、気づいたら選手はフィニッシュしている。そんな感じです。

    平松

    そうやって一人ひとりがやってくれているから成立するんですよね。

    金子

    本当にあっという間に終わってますね。

    平松

    終わったら“よっしゃー”みたいな感じになるんですか?

    松尾

    終わったら撤収作業もあるので。

    平松

    そうか、撤収かぁ。

    加納

    選手が行ったら「はい! 片付けして!」という感じです。

    平松

    ほんと頭が下がります。僕ら16時くらいから打ち上げやってますから。当日はお互いに頑張りましょう!

    写真・石原敦志 イラスト・岡田丈

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    No.2428掲載2024年12月25日発売

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