美大マンガに新たな名作誕生の予感が!
モディリアーニにお願い
『モディリアーニにお願い』1 壁画の千葉、日本画の本吉、洋画の藤本。東北にある<バカでも入れる美大>に入学した男子3人を軸に描かれる、笑えて泣ける青春群像コミック。以下続刊。小学館 552円

相澤いくえさんがマンガ『モディリアーニにお願い』の舞台のモデルに選んだのは、昨年3月まで自身が通っていた美術大学。芸術への憧れ、才能への嫉妬、将来への不安などが入り交じる美大ライフが、ビビッドに描かれている。

「主人公を女の子にすると、自分を重ねすぎてしまうかなと思い、劣等感を持つ男子学生にしました。私の母校も作中同様、女子だらけの美大。主人公たちが異性に対してめっちゃシャイというのは、“東北男子あるある”かもしれません」

才能という途方もない怪物に戦いを挑む彼ら。個性が際立つ泣き顔の切なさは、本作の魅力のひとつだ。ライバルの才能に嫉妬して泣き、自分のふがいなさに泣き、すばらしい作品やその創作者に感動して泣く。

「学生当時の私の気持ちを詰め込んだ感じですね。涙もろいんです」

心を揺さぶるそうしたシーンで放たれるセリフがまた秀逸だ。なかでも、壁画の千葉が憧れの女子の先輩から言われたひと言<不安はね、たった1本の、丁寧な線で倒せるんだよ>は、涙腺決壊の恐れあり。

「ほとんどは、美大時代の先生や周囲の人たちの言葉をベースに考えたものなんですが、先の言葉は、私自身が本気で信じていること。読者さんから『このセリフに号泣した』と言われるとうれしいですね」

相澤いくえ

トーンを一切使わない独特の画風。(C)相澤いくえ/小学館

イマドキめずらしく、画材はGペン、丸ペン、インクのみ、だそう。

「イラストレーターの中村佑介先生が昔ツイッターに『お金を出して買ってもらうには、人がマネできない労力だとか何か違う価値がなければいけない』とつぶやいていて、絵に自信がない私ができることは何かと考えました。スクリーントーンなどは使わず、背景の細かな線などもすべて手描きにしています」

震災の悲しみを日々の営みに溶け込ませている彼らの姿も描かれ、人として、アーティストとして彼らがどう成長していくか楽しみだ。

『モディリアーニにお願い』1 壁画の千葉、日本画の本吉、洋画の藤本。東北にある<バカでも入れる美大>に入学した男子3人を軸に描かれる、笑えて泣ける青春群像コミック。以下続刊。小学館 552円 (C)相澤いくえ/小学館

あいざわ・いくえ 1993年、宮城県生まれ。2014年に「小学館新人コミック大賞」で佳作。入賞作品「ひろしの話」は同賞のwebで読める。本作がデビュー作にして初連載作品。

※『anan』2017年1月25日号より。写真・森山祐子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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