原作はNYタイムズ・ベストセラーで、21週1位を記録。50か国で累計1500万部を突破したポーラ・ホーキンズの同名ミステリー小説『ガールズ・オン・ザ・トレイン』。
発売前に映画化権が売れ、オバマ大統領の今夏の読書リスト入りも果たした注目作とあって、日本より先に公開されたアメリカでは、北米映画興行収入ランキングの首位デビューを飾るヒットとなりました。
物語はタイトル通り、女性が電車に乗っているシーンで幕を開けます。主人公は夫トムと離婚し、アルコールに溺れてしまったレイチェル。彼女の唯一の慰めは、通勤電車の窓から見える“理想の夫婦”メガンとスコットを眺めること。ふたりは、かつてレイチェルがトムと暮らしていた家のご近所さん。美男美女で、激しく愛を交わすメガンとスコットは、幸せだった頃のレイチェルとトムのよう。トムは現在、再婚相手アナとの間にこどもをもうけ、レイチェルと暮らした家で、新婚生活を満喫中。レイチェルは厳しい現実から目を背けるかのように、メガンとスコットの観察にのめり込んでいきます。
そんなある朝、レイチェルが車窓から目撃したのは、メガンが夫以外の男性といちゃつく姿。私の“理想の夫婦”を不倫で壊すなんて許せない! 激情にかられた酩酊状態のレイチェルは電車を降りて、メガンとスコットの家へ。ところがいつの間にか記憶をなくし、気が付けば、自分の部屋。しかも血だらけで、大怪我をしている。困惑しきりのレイチェルの元に、メガン殺害事件を捜査するコワモテの刑事たちが! レイチェルは自分の容疑を晴らそうと、かすかな記憶を頼りに空白の時間を埋めていこうとする。しかし、その真相は予想外のもので…。
主演は、映画『プラダを着た悪魔』で、アン・ハサウェイにライバル心むき出しのアシスタントを演じてブレイクしたエミリー・ブラント。今や映画賞常連の演技派とあって、本作でも迫真の演技を披露。目は虚ろ、手は震え、アルコールなしでは夜も眠れない。心も体も傷ついたヒロインを力演しています。ちなみに、本作の撮影をしていた頃、エミリーは妊娠4か月目だったそう。安定期直前のデリケートな時期、心拍数が上がりっぱなしのミステリー作品に真っ向から取り組むとは! 彼女の女優魂を示すエピソードでしょう。
エミリーに負けじと、メガン役のヘイリー・ベネットはその妖艶な魅力で、フェロモンを大量放出。スコット役のルーク・エヴァンスと繰り広げる激しい濡れ場やむっちりボディを惜しげもなく晒した全裸ヌードで、体を張りまくり。物語の鍵を握る若妻(この言葉がすでにエロい)を体現しています。今後は、映画『マグニフィセント・セブン』のヒロインや巨匠テレンス・マリックの新作『Weightless(原題)』の主役に抜擢されるなど、大作が目白押し。要注目の女優です!
映画化に際し、舞台をイギリスからアメリカに変更したことやレイチェルの記憶がつながっていく様に賛否はあるものの、犯人が分かった後も犯行の過程を暴いてラストまで魅せるのはさすが。個人的には、『フレンズ』のリサ・クドローが“レイチェル!”と呼ぶシーンを観た瞬間、胸アツになりました(笑)。観終わった後は、いろんな視点でガールズ・トークが弾むこと請け合いです!