photo : Yoshiki Okamoto text : Mako Yamato edit : Akira Ikeda PR・JR東海
花手水で身を清め、土の大仏に厄除けを願う。
歴史ある飛鳥の、岡山の中腹に立つことからその名がついた岡寺。創建時の古称の龍蓋寺(りゅうがいじ)は、暴れて農民を苦しめていた悪龍を、寺を創建した義淵(ぎえん)僧正が池に閉じ込めて大きな石で蓋をし、改心させたことに由来する。今も境内に残る龍蓋池がその池だ。悪龍の厄難を取り除いた言い伝えが、厄除け信仰の始まりに。鎌倉時代初期に書かれた歴史物語「水鏡」には「つつしむべき年にて、すぎにし きさらぎの初午の日、龍蓋寺へ まうで待り」と記されていることから、日本で最初の厄除け霊場とされている。
御本尊は今も残る日本で最大の塑像(土で造られた仏像)、如意輪観音座像。弘法大師が日本・中国・インドの土を使って造り、それまでの御本尊・金銅如意輪観世音菩薩半跏思惟像(はんかしゆいぞう)を胎内に納めて新たな御本尊としたと伝わる。1300年の時を経て色が落ち白くなっているものの、頭部に藍色、唇には紅がわずかに残り、往時の姿をしのばせている。
4月中旬から5月にかけては3000株の石楠花(しゃくなげ)が境内に咲き、ゴールデンウィークには手水舎や仁王門を入ってすぐの池が天竺牡丹(ダリア)で埋め尽くされ華やかさもひと際。厄除けを祈った心を、ますます晴れやかにしてくれる。
岡寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
油長酒造(ゆうちょうしゅぞう)/大和蒸溜所
中世の奈良の僧侶たちの努力によって、日本酒は濁り酒から清酒となり、また酒蔵から消費地に運搬可能な商品となったことをご存じだろうか。その清酒発祥の地で、1719年に創業した油長酒造は、伝統的な製法を守る酒造りと並び、新しい技術で新しい日本の酒を創造するユニークな酒蔵だ。地元の人々に搾りたての酒を飲んでほしいと、1998年に「無濾過・無加水・生酒」にこだわった「風の森」ブランドを立ち上げた。500年前に確立した奈良酒の伝統に現代の技術を重ね合わせ、今の時代にしか造れない日本酒を届けてくれるなかで、2018年に立ち上げたのがなんと江戸時代から伝わる建物の中に最新の蒸留器が置かれた『大和蒸溜所』。地元のバーテンダーと共に「奈良にしかないスピリッツを作ろう」という思いで、奈良産の大和橘(やまとたちばな)と大和当帰(やまととうき)というこの地の風土に根付いた味わいのジンを届けてくれる。2021年には奈良のビール醸造所とのコラボも実現。五感をくすぐる「奈良らしさ溢れる新しい酒」、ぜひ大和の地で味わいたい。
●『油長酒造』奈良県御所市1160番地 ☎︎0745-62-2047
●『大和蒸溜所』奈良県御所市西久保本町1137 info@yamato-distillery.jp 油長酒造の酒蔵は公開されていないが、隣接する大和蒸溜所は見学の対応も可能なのでメールでの問い合わせを。岡寺から車で20分。JR御所駅は徒歩5分。
GOSE SENTO HOTEL
御所(ごせ)は、金剛山、葛城山の山麓に位置し、山岳信仰「修験道」の開祖「役行者(えんのぎょうじゃ)」が生まれたという神々の気配に触れられる土地。陣屋町として江戸時代初期から栄え、今でも家々の間を流れる水路「背割り下水」がその姿をとどめて、江戸時代の検地絵図が使用できるほどにかつての風景を色濃く残している歴史深い街に2022年に登場した分散型施設が「GOSE SENTO HOTEL」。万年筆本舗を改築したホテル「RITA御所まち」を中心に、ローカル・ガストロノミーを味わえるレストラン「洋食屋ケムリ」、昔ながらの浴槽とセルフロウリュも楽しめる本格的フィンランド式サウナを備える銭湯「御所宝湯」、自転車と共に泊まれる「宿チャリンコ」で構成されている。江戸の町並みと昭和の薫りを色濃く残すところで、「泊・食・湯」の“まち歩き”をメインとした斬新な楽しさ溢れる旅のスタイルを提供してくれる。
●RITA御所まち/奈良県御所市西町1069 ☎︎0745-49-0823(GOSE SENTO HOTEL 全体の問い合わせ先は☎︎0745-49-0854)岡寺から車で20分。JR御所駅からは徒歩5分。
ダ テッラ
日本の原風景を思わせる明日香村にて、自家菜園で収穫した野菜でもてなすイタリアンレストラン。「両親が育てる野菜を料理として生かしたいと考えたのが始まり。年間100種類ほどの野菜、米や小麦、八朔やみかんなどの柑橘類まで。レストランで提供する野菜はすべて自家製です」と店主の中井宏和さん。スペシャリテは「大地から」と名付けた一皿。茹でる、焼く、生のままなど、異なる調理法で仕上げた野菜が20種ほど盛り込まれ、明日香の旬が凝縮する内容に。自家栽培した小麦を石臼でひいた全粒粉を使ったパスタは、手打ち蕎麦のような食感で噛むごとに小麦の風味が口に広がる。店名はイタリア語で大地から、の意。その名のとおり、明日香の大地を味わいつくす喜びがある。
●奈良県高市郡明日香村川原884 ☎︎0744-41-9072 12:00(この時間のみ予約可)、18:00〜22:00(19:00LO)水木休 ランチ¥7,700、ディナー¥11,000。要予約。岡寺から車で5分。
Information
いざいざ奈良 大和四寺編
「いざいざ奈良」キャンペーン、今回は大和四寺をピックアップ。豊かな自然や文化が守られて息づいているエリアで五感で楽しむ唯一無二の旅をしてみませんか。キャンペーンの特設サイトでは、大和四寺エリアでの旅の楽しみ方を紹介。
さらに、奈良への旅行が楽しくなる「いざいざ奈良」だけの特別な旅行プランも登場。大和四寺を巡るスタンプラリーキットと併せて巡礼を楽しみたい。岡寺では、花手水づくりの体験と僧侶の案内で通常非公開の重要文化財「書院」を特別に拝観できるオリジナルプランも。
この記事は、JR東海のスポンサードで製作したものです