アニメ業界で奮闘する“彼ら”に、新たな形で再会!
上から時計回りに、行城、香屋子、瞳、王子。お仕事エンターテインメントの傑作『ハケンアニメ!』がウェブトゥーン化。11月18日(土)より「LINEマンガ」独占先行配信。制作プロデュース:マガジンハウス 制作:WONDER TOON LAB
ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』はこちら
【YouTube】「ハケンアニメ! タテ読みコミック配信開始!」
ウェブトゥーンとは韓国発のウェブコミックなのだが、制作を担当した雲井蛍さんはその特徴を次のように説明する。
「右から左へ横に読んでいく日本のマンガと違い、主にスマートフォンで読むことを想定しているので、縦スクロールでフルカラーの作品になります。制作に関しても、キャラクターデザイン、シナリオ、線画、着彩などを分業で行う韓国のスタイルを踏襲しています。そのためITベンチャーやゲーム制作会社など、マンガ業界以外からの参入も多く、日本でも盛り上がってきています」
ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』の制作チームは6名ほど。作中で描かれるアニメの制作現場ほど大所帯ではないが、本作自体もチームワークで作り上げているのだ。
「しかも私は、前職でアニメの宣伝と企画プロデューサーをしていたので、不思議なご縁を感じます。良くも悪くも本音でぶつかり合う、アニメ業界の人々の正直さや良心を、きちんと描いた小説だと思いました」
今回配信されるのは、原作の第1章「王子と猛獣使い」。伝説の天才アニメ監督・王子千晴を、プロデューサー・有科香屋子が口説き落とし、一緒に仕事をすることになったものの、シナリオが未完成のまま王子が行方不明に。一方、同クールには気鋭の監督・斎藤瞳と敏腕プロデューサー・行城理がタッグを組む話題作も控えていて……。雲井さんはキャラクターデザインとシナリオ、さらにはネーム監修を担当している。
「原作を読んだ人は、連載時や書籍の表紙でイラストを描かれているCLAMPさんの絵柄のイメージが強いと思います。香屋子や瞳は、自然とそれに近くなったのですが、王子や行城など男性のキャラクターデザインは、あえて少し違う雰囲気にしています。例えば王子は、見た目は若くて生意気だけど30代半ばになろうとしているじゃないですか。目や鼻など顔のバランスや服装をリアルに寄せつつ、キャラクターとして萌えるビジュアルを意識しました」
シナリオには、登場人物のセリフはもちろん、そのときの表情、コマの情景、画角まで細かく盛り込み、物語の設計図を作成。その過程で雲井さんが気づいたのは、ウェブトゥーンと小説の相性の良さだった。
「ウェブトゥーンは私たちが読んできたマンガよりも、主人公のモノローグが多い傾向にあるんです。それは読者とキャラクターの距離を早く縮めるのに効果的だったりするのですが、登場人物の内面を細かく描写する小説は、ウェブトゥーン化にとても向いていると思いました」
スクロールで流れるようにコマが展開するため、映像を見ているような感覚を味わえるのも特徴。全体的に原作に忠実な印象だが、絵だからこそ表現できるニュアンスも。
「香屋子と王子のやり取りで、“ちょっといい雰囲気”を演出しています。仕事場のディテールなどもリアルな描写にこだわっているので、その辺りもぜひ見てほしいですね」
ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』はこちら
原作・辻村深月さんからのコメントも到着!
「また新しい王子や香屋子に会えて、とても嬉しいです。マンガ版の彼らも表情豊かで可愛く素敵。そして、熱いです!」
『ハケンアニメ!』 2012年から2年弱にわたって本誌で連載され、昨年の映画化も話題になった、辻村深月さんの長編小説。同クールに放送されるTVアニメで、最も成功した作品に与えられる「ハケン(覇権)」の称号を巡り、奮闘する人々を描く。仕事との向き合い方を教えてくれる、熱い群像劇。マガジンハウス文庫 968円
お話を伺った方・雲井 蛍さん(クリエイティブディレクター/WEBTOON作家)
くもい・けい TVアニメの宣伝・企画プロデューサーを経て、現在はギークピクチュアズでクリエイティブディレクター及びWEBTOON原作者として、オリジナル作品を制作中。
※『anan』2023年11月22日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん) 取材、文・兵藤育子
(by anan編集部)