なかでも注目は、東京五輪を控えたU-24日本代表だろう。3月に行われたU-24アルゼンチン代表との2連戦。初戦こそ完敗したものの、第2戦で攻守にアグレッシブな姿勢を見せてメダル候補と称される強豪を圧倒。五輪で「一番キレイなメダルを取りたい」と大目標を掲げるチームにとって、内容、結果とも大きな手応えを得る形となった。
迎える6月シリーズ、森保一監督は今回の代表活動を「五輪に向けたメンバー選考の場であると同時に、オーバーエイジ(OA)と五輪世代の融合も考えたい」と説明。今回のOAには日本代表の守備を支える吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航が招集され、五輪世代ながらフル代表でレギュラーとして活躍してきた冨安健洋も合流。選手選考を進めながら、一気に五輪モードに切り替わることになる。過去の大会でOAとの融合に苦しんだ記憶を糧に、スムーズな連携構築を図る構えだ。
そして五輪世代の選手には、生き残りを懸けた厳しい戦いが待ち受ける。東京五輪の登録選手数はW杯の23よりも少ない18。3人のOAを除くと残された枠は15しかなく、今回はこの“狭き門”を巡る最終選考=苛烈なサバイバルの場になる。
一方、日本代表はW杯アジア2次予選を含めた異例の5連戦に臨む。注目は9月からの最終予選に向けた選手層の底上げだ。代表チームが短期間に5試合を戦えるケースは珍しく、OA組がチームを離れるため、多くの選手にチャンスが巡ってくることになりそう。世界へとつながる道のりの険しさは歴史が証明しており、日本代表の総合力を引き上げる新戦力の台頭に期待が集まる。
また、2011年女子W杯優勝、ロンドン五輪銀メダルの実績を持つなでしこジャパンも、東京五輪に向けた最終選考の2連戦を迎える。
各カテゴリーの代表選手にとって、この6月シリーズはまさに運命の分岐点。輝く才能を見せ、未来への切符をつかむのは誰か。大舞台を目指す選手たちの覚悟が、いつも以上に代表のピッチを熱くさせるはずだ。
東京五輪へ、そしてアジア最終予選へ。
最終サバイバルに臨む選手の覚悟を見よ。
日本代表(A代表) 大迫勇也
「ハンパない」トラップやポストプレーで代表の最前線に君臨するエースストライカー。まさに攻撃の要だ。
日本代表(A代表) 山根視来
神出鬼没な動きでゴール前に飛び出す右サイドバック。日本代表の新たな武器となる予感が漂う。
日本代表(A代表) 冨安健洋
堅守を誇るセリエAで活躍し、世界でも高く評価される若手有望株。今回から東京五輪世代へ戻って活動する。
U-24日本代表 久保建英
日本サッカーの未来を担う才能。一瞬で局面を変える攻撃センスは見る者の心を捉えて離さない。
U-24日本代表 板倉 滉
今季オランダリーグ全34 試合フル出場の快挙。3月にはU-24アルゼンチン代表から2ゴールの大活躍を見せた。
なでしこジャパン(日本女子代表) 岩渕真奈
不動のエースへと成長した“リトル・マナ”。圧倒的なテクニックを武器に自国開催の五輪で頂点を目指す。
information
6/3・北海道 SAMURAI BLUE(A代表) vs U-24日本
※ジャマイカ代表との強化試合は中止となりました。
6/5・福岡 親善(U-24) vs U-24ガーナ
6/7・大阪 W予(A代表) vs タジキスタン
6/10・広島 親善(女子) vs ウクライナ
6/11・兵庫 KCC(A代表) vs セルビア
6/12・愛知 親善(U-24) vs ジャマイカ
6/13・栃木 親善(女子) vs メキシコ
6/15・大阪 W予(A代表) vs キルギス
※KCC=キリンチャレンジカップ、W予=W杯アジア2次予選 親善=国際親善試合
(情報は6/1現在)
※『anan』2021年6月9日号より。写真・JFA 文・青山知雄
(by anan編集部)