「大事にしてるのは、なるったけ心が自由でいることかな」
「俺自身は、精神年齢がひどいくらい低いのよ。小学生と喋って話が合うくらいで“大人”というには程遠い(笑)。でも、得てして周りから褒められるのは、さっきも言ったように真逆な役なんですよね。カッチリしたセリフとか難しいことを言うとか、無駄な動きのないものとか。悪役とか刑事とか。自由にやるよりも、少し制約があるほうがいいのかな。黙っているとこの顔つきだから、少しは雰囲気が出るのかもしれない」
本来好きなのは、ほのぼのとしたホームドラマだそう。ただ、演じるぶんには自分とかけ離れたキャラクターは面白いと話す。
「悪い役を演じる時にテーマにしているのは哀しみかな。作品の中には描かれていなかったとしても、悪の道でしか生きられなかった哀しみみたいなものは、どこかに持っておきたいなと思っています」
どんな役柄でも、一面的ではない人間的な部分を捉え演じていく。
「大事にしてるのは、なるったけ心が自由でいることかな。どんなに緊張感のある現場でも、自分が感じたものとか、思いついたアイデアは勇気を出して全部やってみる。ダメって言われることもあるし、失敗することもあるけどね」
そこに恐れを感じたことはない。
「昔から一匹狼で現場に行ってたから、違うと思うことがあれば全部言い返してたよね(笑)。さすがにいまは、いい歳こいてそんなことはしないけど、役については遠慮しないようにはしてる。最近お酒をやめてから、感性が20代の頃に戻った感じがあるんです。いろんなことを吸収したくなって、周りに薦められるまま映画とかドラマとかをすごい観ています。いまさらだけど勉強し直しですよ」
えんどう・けんいち 1961年生まれ、東京都出身。最近のおもな出演作にドラマ『星影のワルツ』『竜の道』『私刑人』などがある。出演映画『地獄の花園』は5月21日公開予定。
ジャケット¥47,000(CONFECT表参道店 TEL:03・6438・0717) ベスト¥39,000(suzuki takayuki) パンツ¥46,000(デンハム/デンハム・ジャパン TEL:03・3496・1086) シューズ¥62,000(GARMENT REPRODUCTION OF WORKERS/CONFECTION CO.,LTD TEL:03・6336・4771) その他はスタイリスト私物
※『anan』2021年3月31日号より。写真・笠井爾示(KATT) スタイリスト・中本コーソー(Leinwand) ヘア&メイク・村上まどか 取材、文・望月リサ 撮影協力・AWABEES
(by anan編集部)