NHK朝ドラ『おちょやん』出演の若葉竜也 『AWAKE』で天才棋士役

エンタメ
2020.12.02
夢を諦めた/諦められない人たちへ。実話の“世紀の一戦”を元に作られた、将棋を媒体とした青春ドキュメント『AWAKE』。出演する若葉竜也さんにお話を伺いました。
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棋士とAI将棋ソフトの対局を巡る実話がベース。プロを目指すも夢半ばで散り、ソフト開発者として再生する英一を吉沢亮さん、英一に刺激を与える若き天才棋士・陸を若葉さんが演じます。

――台詞も動きも少ない棋士役は、演じるのが難しかったのでは?

運やまぐれではなく、実力だけで勝ち負けが決まる世界で生きている棋士から漂う勝負師の緊張感は、勝ち負けのない俳優の世界で生きている僕の想像力だけでは、とうてい体現できないと感じました。自分の拙い想像力や感情だけで演じると役者の独りよがりになってしまう。それは絶対にやりたくなかった僕にとって偉大な存在だったのは、将棋指導の栗尾軍馬でした。栗尾は僕の幼なじみで、天才棋士という役に説得力を持たせるのに最も大切な所作である「指し手」も彼に徹底的に教わったんです。頭で考えなくても手が自然に動くように、常にポケットに歩の駒を入れて、時間があれば練習していました。自己満足的な役作りやアプローチは排除して、棋士の立ち居振る舞いを徹底的に体に落とし込みました。

――もともと将棋はお好きなんですか?

“歩は前に進む”くらいしかルールを知らないんです…。作品に入る前にやってみたんですけど、陸が戦っている盤上の勝負はレベルが高すぎて、諦めました(笑)。

――この作品に参加したかった理由は?

題材こそ将棋ですが、本質的には人と人とが関わり合いながら、成長したり挫折したり、普遍的なことを描いているところですね。それと、(山田篤宏)監督の商業デビュー作品ということにも惹かれました。

――山田監督の演出はいかがでしたか。

信頼してもらい、自由にやらせてもらえました。これはあくまで僕の想像ですけど、監督は陸よりも吉沢(亮)くんが演じた英一に思いを寄せているように感じました。監督自身と重なる部分があるのかな? と。

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――その英一は途中でプロの夢を諦めざるを得なかった一方で、才能ある陸は、将棋道を究めていきます。1歳で初舞台を踏み、ここまで俳優を続けている若葉さんの歩みは、陸と重なる部分があるのでは?

たしかに小さい頃から大衆演劇をやってきましたが、ずっと役者以外の仕事をやりたかったんです。役者以外なら、何でもよかった。でも、ある時気づいたんですよ。それまで放射状に広がっていた役者以外の可能性が、年齢とともにどんどん消えているって。ある種、挫折を感じながら役者になった珍しい例かと(笑)。昔からやってきたし、生活していける可能性が一番高いと思える職業が、役者だった。リアリストなんですよ、僕。だからこそ、プロとして、監督の表現したいことを全力で体現しているつもりです。じゃないと役者なんて、すぐに仕事がなくなっちゃいますから(笑)。

――将棋に親しみが薄い読者も観たくなるポイントを教えてください。

この映画は将棋が一ミリもわからない人でも楽しめますが、強いて言うなら、吉沢くんのゾクッとするような美しくて冷たい目線。吉沢くんって、本当に綺麗で、顔合わせをした日の帰り、栗尾と2人で「すごい男前だった」「肌もキレイだった」って話してましたから(笑)。

対局を重ねて成長する高純度な青春ドラマ。

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同世代で圧倒的に強い陸に、英一は負けを受け入れることを教わる。陸も、かつては英一に負けたことでより強くなった。やがて二人は棋士とプログラム開発者として対局。そんな切磋琢磨し合えるライバル関係が尊く美しい。©2019「AWAKE」フィルムパートナーズ

わかば・りゅうや 1989年6月10日生まれ、東京都出身。NHK連続テレビ小説『おちょやん』に出演。来春公開の主演映画『街の上で』など待機作多数。コート¥55,000(タクタク/スタジオファブワーク TEL:03・6438・9575) シャツ¥25,000(ジョン メイソン スミス/HEMT PR TEL:03・6721・0882) パンツはスタイリスト私物

『AWAKE』 プロの夢に破れた英一は、コンピューター将棋のプログラミングに情熱を注ぐ。やがて、〈AWAKE〉と名付けた自作のプログラムで、かつてのライバル、陸と対戦することに。12/25より新宿武蔵野館ほか全国公開。

※『anan』2020年12月9日号より。写真・佐藤航嗣(UM) スタイリスト・タケダトシオ(MILD) ヘア&メイク・FUJIU JIMI 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)

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