「僕は運がいいな」瀬戸康史が仕事で“燃える”状況とは?

エンタメ
2019.10.30
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの舞台『陥没』に続き、舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』にも出演する瀬戸康史さんに話を聞きました。

自分が演じる姿が想像できないものに挑戦していきたい。

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こんな瀬戸康史見たことない。そんな声が各所から聞こえてきたのが、一昨年のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)さんの舞台『陥没』。演じていたのは、突拍子もない言動を連発する自由奔放で風変わりなキャラクター。いい意味で場をかき乱していく瀬戸さんのユーモラスな演技は、大きな話題になった。

「以前からKERAさんの舞台が好きだったので、作品の面白がり方とかは知っていて、そこは合うのかなとは思っていたんです。ただ、僕が演じた清晴という役は芝居が始まって1時間出てこないうえ、そこまでにいろんな登場人物が清晴のことを話すので、観客の期待値のハードルが上がったなかでの登場で、出てきただけで謎の拍手(笑)。最初は不安でしたけど、いまはKERAさんに、自分の知らない自分を見つけてくれた恩のようなものを感じています」

その恩人との再びの邂逅となる舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム』は、カフカの長編小説の遺稿が発見されたという“てい”で上演されるKERAさんの新作。

「カフカの小説って、途中が欠落していたり、ラストも完結してなかったりする。そういう雰囲気は大事にしているんじゃないかな。物語としては、発見されたカフカの小説のなかの世界と現代の世界の2つがあって、それがシンクロしたり馴染んできたりする…らしいです」

“らしい”とは、なんとこの取材時点で結末の台本が上がっていないそう。とはいえ、焦った様子はなく…。

「KERAさんは、自信を持って出せるものだけを僕らに見せようとしているからで、作品に関しては大丈夫だっていう信頼もある。僕はもともと心配性で、本番前も舞台袖ではめちゃくちゃ緊張してるタイプなんですよ。でも板の上に出た途端、それが飛んで、なんとかなるでしょ、っていう気持ちになるんですよね」

年を重ねて余裕も生まれ「いい意味でテキトーさを手に入れた」とも。

「道草を食えるようになってきたんですよね。僕は真面目な性格だと思いますが、表現の世界では真面目にやっているだけが正解ではないんじゃないのかなと」

そのせいか、近年の瀬戸さんの活躍ぶりは目覚ましい。ドラマ『海月姫』のポップな女装男子から、『透明なゆりかご』の誠実な産婦人科医まで縦横無尽に演じ、『ルパンの娘』では見事なアクションも披露するなど、その役の幅の広さがあらためて注目されている。

「作品との出合いに関して、僕は運がいいなと感じています。ただ、自分が演じる姿が想像できるものより、そうじゃないものをやっていきたい気持ちはあります。目の前に乗り越えるべきもの…壁みたいなものがある方が燃えるのかもしれない」

Stage

『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』 『失踪者』『審判』『城』に続くカフカ4作目となる長編小説の遺稿が発見された。そしてその誰も知らない未発表長編が舞台化されることになるが…。11月7日(木)~24日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 ホール 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/多部未華子、瀬戸康史、音尾琢真ほか S席9500円 A席7500円ほか(すべて税込み) チケットかながわ TEL:0570・015・415(10:00~18:00) 兵庫、北九州、豊橋公演あり。https://www.kaat.jp/

せと・こうじ 1988年5月18日生まれ。福岡県出身。ドラマや映画、舞台などで幅広く活躍。近作に、ドラマ『ルパンの娘』『まんぷく』など。公開中の映画『人間失格 太宰治と3 人の女たち』にも出演。

ブルゾン¥60,000  パンツ¥42,000(共にKAZUYUKI KUMAGAI/アタッチメント代官山店 TEL:03・3770・5090) シャツ¥24,000(JUHA TEL:03・6659・9915)

※『anan』2019年11月6日号より。写真・的場 亮 スタイリスト・小林洋治郎(Yolken) ヘア&メイク・小林純子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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