「プレゼントってやっぱり、自分のテンションが上がるものじゃなくて、相手のテンションを上げるもの。言葉選びもその側面があるので、ただ真面目に事実だけ述べていても、相手のテンションが下がってしまう気がして。だから例えば、喧嘩してしまった相手に謝罪の気持ちや感謝の言葉を伝えたい時は、実際に買わなくてもいいので、その人へのプレゼント探しに出かけてみてください。“あの人だったら何が似合うかな”とか、その人がいない時間に思いやる“下ごしらえ”を挟むことで、観察力が鋭くなり、言葉の選び方や伝え方が自然と変わってくると思うんです」
相手にお茶を出す気持ちで話す。
本題に入る前に、まずは相手がほっと一息つける“前菜”からスタート。
「今の時代って、ツールの普及により、話を聞く人より、表現者のほうが多くなってしまっているんですよね。だから聞く人間からすると、“他はいくらでもある”という状況になっていて。そうなった時、やっぱり自分だけが気持ちいい話をしていても、聞いてはもらえません。だから僕はブログやコラムを書く時に、“もしよろしければ”みたいな、飲んでも飲まなくてもいい、お茶を出すようなイメージで書いています。読んでも読まなくてもどっちでもよくて、ただ読んでいる人に“じゃあ、ひと休みしようかな”と思っていただけるような文にできたらいいな、と。そのために、本題の前に必ず前置きというか、近況報告的な“前菜”を入れています。そうすることで、自然とそこの温度感に入っていただけると思うんです」
結論は急がず、共感から始める。
相手の心に寄り添うことが、伝わる会話の第一歩。
「占いの記事で『失恋をしたら』みたいな項目を書く時も、“じゃあどうすればいいか”という結論は急がないようにしています。僕はそういう効用の言葉って、個人的にはあまり好きではありません。目標を持って今日から◯◯をするとか、ビジネスや競技の世界では正しいんですけど、人間ってやっぱり、それだけではないと思うんです。大失恋をした時、いきなり“恋愛相手なんて星の数ほどいるから、気持ちをポジティブに持って動きましょう”と言われても何も響かないと思うし、僕自身、そういう発言を聞くと“それってあなただからできるんですよね?”と思ってしまうことがある。そこで距離を取られてしまうと伝えたいことも伝わりづらくなってしまうので、僕はいつも“そういう時もありますよね”から言葉を繋いでいくようにしています」
頭の中に中学生を置く。
人に何かを伝える時は、明快でわかりやすい表現を。
「僕はいつも頭の中に中学生を置き、“それって要はどういうことなの”?と、自分に突っ込みを入れながら文章を書いています。仲間内で通用する言葉が、必ずしもそれ以外の人に簡単に受け入れられるとは限らないし、本当に話が上手な人は、中学生でも納得させられるレベルのような気がしていて。だから僕も、自分の言っていることが中学生でも興味を持って聞いてくれるかどうか、考えながら書いたり、話したりしています。例えば、紅茶を飲んでいるとして、大人だったら、その紅茶のフレーバーや葉っぱの良さを説明しても、ある程度“ああ、そうですか”とお付き合いしてくれるんですよ。でも、相手が中学生だと鼻クソをほじり始めてしまう(笑)。だから、美味しいか、まずいか、中学生でも飽きないようなテイストの話から始めるようにしています」
※『anan』2019年2月13日号より。イラスト・100%ORANGE 取材、文・菅野綾子
(by anan編集部)
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