
漫画『僕は妖怪になりたい』作者、コドモペーパーさんにインタビュー。
どうも、片思いの話が好きみたいなんですね
切り絵作家、マンガ家として活躍するコドモペーパーさんの最新刊『僕は妖怪になりたい』。上巻の帯にある〈妖怪NTR殺人事件〉という惹句が気になりすぎる!
「NTR、つまりネトラレは担当編集さんから提案されたアイデアで、あまり考えたことがないジャンルだったんです。ただ、その編集さんが教えてくれた中原中也と小林秀雄の三角関係に見るように、調べてみると、好きだから奪い合うというより、元の人が次の人に割と抵抗なく渡してしまうような関係があったりするんですね。ネトラレにもいろいろなパターンがあって不思議で面白いなと、取り入れてみました」
妖怪に心酔する主人公・直哉は、没落貴族の娘・綾乃と結婚したばかり。ふたりは本家とは別の洋館で新婚生活を送るが、そこに直哉の幼馴染みで寺の放蕩息子・龍之介が現れて…。交錯する思いが事態を複雑に。
「どうも、片思いの話が好きみたいなんですね。読者から見れば、すでに思いが成就している場合もあるんですが、意思疎通がうまくいかない人たちばかりだから、当人たちにとっては片思いが続くような(笑)」
そんな微笑ましい三角関係の傍ら、館では妖怪が跋扈し、人が亡くなる事件も起きる。

Ⓒコドモペーパー/新書館
「もともとは、閉ざされた一族の血縁や因縁と怪奇的な事件という、横溝正史の世界観でコメディみたいなものができないか、というアイデアだったんです。昔やっていた映画を観たときに、きれいで怖いけれど、行きすぎるとちょっと面白くなるんだなあという印象が残っていて」
さまざまな発想が結実し、直哉の人物像は生まれた。丸眼鏡に痩せた体というビジュアルは、フランスに帰化した画家・藤田嗣治をイメージしたものだそう。
「直哉は『妻推し』なんです。龍之介のことを、子どもの頃から『あいつはかっこよくていいやつだ』と思っていて、だから妻を幸せにするために龍之介と妻とを結ばせたい。そういう“ナゾの使命感”があるキャラが似合うと思いました」
上巻のラストで、綾乃の幼馴染み妖怪〈マリちゃんの鞠〉が登場。この物言わぬ存在が、物語を動かす役回りになっていくのも面白い。
「〈マリちゃん〉は偶然出てきたんですよね。私自身、こんなに活躍するとは思っていなくて。でも、だんだん勝手に小道具というよりいちキャラクターみたいに思うようになっていきました。幽霊や妖怪は人間が想像したものだから、いても不思議はないという気持ちがあります。そこは直哉と同じ。個性的な人とは話してみたい、というのに近いですね」
Profile
コドモペーパー
1979年、福岡県生まれ。大学卒業後、オンラインでイラストや切り絵、グッズ等を販売。cakes(サービス終了) での入選を機に、マンガ家としてもデビュー。
information
『僕は妖怪になりたい』上・下
妖怪はエドワード・ゴーリーのような「ちょっと乾いた感じ」を意識したという。愛らしさと不穏さ、リアルさとデフォルメが混在する独特のタッチが魅力的。
新書館 各990円
anan 2515号(2026年10月14日発売)より
































