
タイトルに込められた意味に一筋の光明が差す、青春ミステリー。
人工知能の開発者・工藤賢は、劇場型自殺を遂げた美貌のゲームクリエイター・水科晴の知能を蘇らせるプロジェクトに参加。徐々にこの世にいない晴の人格に惹かれ始め…。近未来を舞台にした恋愛要素たっぷりのミステリー『虹を待つ彼女』でデビューした逸木裕さん。
新作『少女は夜を綴らない』では、誰かを傷つけてしまうかもしれないという自らの加害衝動に怯える女子中学生・理子を主人公にした、少しダークな青春ミステリーに挑んだ。
「理子は、<夜の日記>と題したノートに、身近な人の殺害計画をしたためて、自分の後ろめたさや過去のトラウマを慰撫しているような少女です。自分を振り返っても、中学生くらいのころがいちばんつらかった。そんな年頃には、ほの暗い感情を持つのも案外めずらしくない気もするんですね。とはいえ、僕らのころとイマドキの中学生の感性はぜんぜん違うでしょうから、僕なりに登場人物たちを知りたいと思い、想像力でキャラクターに迫っていきました」
理子はボー研こと、ボードゲーム研究会に所属している。そのボードゲームをめぐるエピソードが有機的に効いていることが、物語が進むにつれ、わかってくる。
「学校にも家庭にも居場所がない理子に、彼女らしくいられる楽しい場所としてどこかないかな、と考えたときに、僕自身も好きな将棋やゲームを小道具としてつなぎました」
孤独な理子に近づいてきたのは、小学6年のとき転落死した加奈子の弟・悠人。彼との関わりが、理子の運命を揺さぶっていくのだが…。
「理子は自分の衝動が恥ずかしく、自分の中に“嫌いな自分”がいる。そうした理解されがたい部分も含めて、認めてくれる誰かにめぐり会いたいという思いは普遍的だと思います。悠人はそれを初めて肯定してくれた相手。“殺人衝動”という部分を除けば、ふたりの関係性に感情移入してもらえるのではないかなと」

加奈子の死の真相、理子たちが住む地域のホームレス連続殺人。理子と悠人による殺人計画。複数の謎を仕掛け、畳みかけるように読ませる。
「書きたいのは、常に、謎が解けたときに人間のドラマが立ち上がってくるようなものです」
本作でも、ラスト数行に、人間への愛しさがこみ上げてくる。
いつき・ゆう 作家。1980年、東京都生まれ。2016年『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。フリーランスのウェブエンジニアとしての顔も持つ。趣味はホルン。
※『anan』2017年9月6日号より。写真・土佐麻理子(逸木さん) 水野昭子(本) インタビュー、文・三浦天紗子
(by anan編集部)
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