“夢中”になると○○する! 4つの心理学的メリットとは?

エンタメ
2017.06.14
何かを深く愛している人はキラキラしていて魅力的。経験的にそう感じてはいるけれど、実際に客観的事実として物事に“夢中”になることって何かプラスの影響はあるの? 心理学の専門家に、“夢中”のスゴイ効果を聞きました! 
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何かに夢中になることが能力を劇的に伸ばす。

好きなことやものに熱中していると、時間の経過を「あっというま」だと感じることがあるはず。心理学の世界では、この“時間を忘れて何かに没頭する経験”のことを“フロー”と呼んでいる。

「フロー理論は、アメリカの心理学者チクセントミハイによって提唱されました。彼によると、フロー理論とは“自分を高めていくための発達のモデル”であり、人は何かに夢中になる(フロー)経験を通して、自分の持っている能力をさらに伸ばすことができるというのです」(心理学者・浅川希洋志さん)

実際、活躍するスポーツ選手やノーベル賞受賞者にはフローを頻繁に経験している人が多いそう。

「フローになりやすい人のことを、“オートテリック(自己目的的)”といいます。日常を積極的に生きている人ほどフローになりやすく、フローを経験しにくい人と比べると、能力以外の面でもさまざまな差が出ることがわかっています。つまり、自分の人生をよりポジティブに過ごすためにも、フローは必要な経験といえるのです」

フローによって得られる効果は…

  1. 充実感が得られる。
  2. 「日本人のフローを調査したところ、フローを経験することで得られる大きな要素として、“充実感”というキーワードが浮かび上がってきました。充実感とは、何かに夢中になったあとに“楽しかったな”“もう一度やりたいな”と思う気持ちのこと。それは目の前の対象にだけではなく日常的な充実感や、人生の生きがいにも実はつながるもの。つまりフローという経験は、精神的な健康を保つうえでも効果的といえます」

  3. “レジリエンス”が高まる。
  4. 「レジリエンスとは、“精神的回復力”を指す言葉。人はネガティブな状況に追い込まれた時、ポジティブな経験を持つことで、回復に向かうことがありますが、このような“ポジティブな経験”として、フローが注目されています。実際、日本の中学生を対象に調査をしたところ、フローを経験している生徒のほうが、そうでない生徒よりもレジリエンスが高いことがわかりました。何かに夢中になることは、逆境に打ち勝つ心も育てます」

  5. クリエイティブになる。
  6. 「フローとクリエイティビティもまた、密接に関わっています。例えば怒りや妬みなど、ネガティブな感情に心が支配されている時、人の視野はとても狭くなりますが、うれしさや楽しさなど、ポジティブな感情を持っている場合は、“あれもできる”“これもできる”と行動や発想のレパートリーは広がっていきます。したがって、日常的にフローが経験できるような状況を作れば、クリエイティブになることが可能なのです」

  7. 他者に対する受容力がアップ。
  8. 「行動のレパートリーが広がってクリエイティブになるということは、感情面でも想像力が豊かになること。フローというポジティブな経験をすることで、人生に余裕が生まれ、他人も含めた世界がよく見えるようになるのです。結果的に、他者に対する思いやりが強まり、社会性も高まっていきます。また、同じ目標や志向を共にする仲間たちと一緒にフローを経験することも人間関係を深め、社会的スキルを向上させるには効果的です」

心理学者・浅川希洋志さん 法政大学 国際文化学部 国際文化学科教授。心理学編フロー理論の研究を行う。共著に『フロー理論の展開』(世界思想社)などがある。

※『anan』2017年6月21日号より。イラスト・いいあい 文・瀬尾麻美

(by anan編集部)

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