第1作を、本当に悔しい思いで観ていました。

「第1作を観た時は、本当に悔しくて。なぜ、声をかけていただけないのかと…。どちらかというと、僕みたいなタイプを出しやすい喜劇なわけじゃないですか! この芸能界を代表する寅さんファンをさしおいて、何をやっているんだと(笑)」
そして無事(?)、出演オファーがきた第2作は、第1作と同様、橋爪功さん、吉行和子さんらが演じる「平田家」が舞台に。今作では周造(橋爪さん)の“免許返納”をめぐり、一家は大騒ぎになる。劇団ひとりさんの役どころは、平田家で起きたある事件を捜査する、刑事役。
「山田監督は、ものすごくリハーサルを重ねる方でした。首の向きや指先の形まで、完全に固めてからカメラを回す。そうした細やかな演出で、なんていうか…“山田節”になるんですよね。寅さんが出ていなくても、やっぱり“あの匂い”がするんだなぁと。特に、蒼井優さんが…。『男はつらいよ』にマドンナとして出てきそうだなぁと、すごく思わされるんです。今回、念願叶って2シーン出演できたわけですが、人間の欲とは恐ろしいもので。『もっと出たい』『主要メンバーに食い込みたい』という欲が出るわけです。今後のシリーズは、どんどん殺人事件が起きてほしいという思いで、見守っていくしかないですね。刑事役なのでね」

25歳で『男はつらいよ』と出合い、約1週間で48作すべてを観賞し、その後DVDを購入。いまなお劇団ひとりさんを魅了し続けている、山田監督手掛ける「喜劇」の魅力とは。
「山田監督の笑いは、かなしいんですよね。寅さんでいうと、有名な“メロン騒動”というのがあって。家族でメロンを食べようと切り分けるんだけど、寅さんを頭数に入れるのを忘れて、大騒ぎになる。それがすごく面白いんだけど、かなしいんですよ。メロンごときでと思うんだけど、家族のいざこざってこんなもんだなとも感じる。別に同じ出来事があったわけじゃないけど、なんだか思い当たるんです。くだらないことでつかの間の家族の団らんがぶち壊しになるみたいなのって、あるじゃないですか。そんな、ただ可笑しいだけじゃない笑い。僕の場合は25歳で、芸人だけど仕事がなくて、借金まであって、けど兄ちゃんはちゃんと仕事していて…そんな時にふと出合って、それが心にしみた。ある程度大人になって初めて、感じられるんだと思います。今回の作品は、できれば家族で観てもらって、その笑いを一緒に味わってほしいですね。若い女性だったら、どうでしょうねぇ、1800円出してあげて、久々にお父さんとのデートなんて。お父さん、喜びのあまり、5万ぐらいにして返してくれるはずですよ」
げきだん・ひとり 1977年生まれ、千葉県出身。芸人としてはもちろん、作家、俳優、映画監督など、様々な分野で活躍。特に好きな「男はつらいよ」シリーズ作品は、第17作『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』。(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会
※『anan』2017年6月7日号より。写真・内山めぐみ
(by anan編集部)
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