OPの中毒性も話題! ガール・ミーツ・シカ物語『しかのこのこのここしたんたん』
オープニングを“シカ”と見届けて。これはマジメなアニメではない!?
’24年7月期からスタートしたアニメ作品の中でも、オープニングの圧倒的な中毒性で話題をさらっているのが『しかのこのこのここしたんたん』。番組タイトルがテンポよくループするイントロに合わせ、両手を頭の上にくっつけたまま指でツノを作る姿がキュートなメインキャラと、存在感抜群の実写系シカが一緒にダンスを踊る――そんな冒頭から視聴者の目と耳を釘付けにしたオープニング(楽曲「シカ色デイズ」歌唱:シカ部)は、TikTokの動画が早くも1000万回再生超えと、驚異的な数字を叩き出しています。イントロ以降も、ポップなメロディにのせてデフォルメあり劇画タッチあり、そしてシカと大量のシカせんべいありという、予断を許さないシュールな映像表現で突っ走る…!
オープニングとはアニメの顔であり内容を映す鏡ですが、物語ももちろん、輪をかけて荒唐無稽な内容に。都立日野南高校で生徒会長を務める清楚キャラの虎視虎子(こし・とらこ/こしたん)が、電線にツノが引っかかっていた鹿乃子(しかのこ)のこ(のこたん)を助けたことからはじまるガール・ミーツ・シカ物語。自由気ままなのこたんにペースを乱され、どうしても隠しておきたい「元ヤン」の過去がバレそうになり右往左往、七転八倒する、そんなこしたんを愛でる30分です。物語の主な舞台となるのは、のこたんをお世話するためになぜか設立された「シカ部」の部室…なるほど、これは深く設定を考えるよりも感じるアニメ――というエクスキューズがそこかしこに、まるで奈良公園のシカばりに点在しています。
そんな「シカ部」には、極度のシスコンであるこしたんの妹・あんこや、のこたんに憧れる大食漢・ばしゃめなどが加入し、序盤からさらにカオスな状態に。そしてはじけきっているのは物語だけではありません。古今東西、様々なアニメや映画のパロディを皮切りに、ツッコミを入れたりぼやいたりするナレーション、唐突な下ネタなど、いつしか忘れていた、平成以降令和以前の「深夜アニメ」を彷彿とさせる演出が満載。ちなみにエンディングは、シカせんべいの作り方を紹介するだけと、感心するほど徹底されています。果たして制作チームは、誰からもシカられずに最後まで暴走できるのか? と期待が膨らむ怪作なのです。
『しかのこのこのここしたんたん』 監督/太田雅彦 出演/潘めぐみ、藤田咲ほか 毎週水曜23:30からABEMAにて地上波先行配信中、毎週日曜23:30からTV放送中。また、各配信サービスにて配信中! ©おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
※『anan』2024年8月14日‐21日合併号より。文・森 樹
(by anan編集部)