デビュー18年! キム・ジュンス、後輩とのコラボに「僕にもあんな時代があったな~ (笑) 」

2022.8.6
デビューから18年。歌手として、ミュージカル俳優として、多彩な魅力で人々を虜にし続ける万能エンターテイナー。キム・ジュンスがついにananに登場!

ミュージカルとの出合いで見つけた、第二の人生。

Entame

韓国ミュージカル界で、10年以上にわたり最もチケット入手困難な俳優といわれているキム・ジュンスさん。ミュージカル俳優、そしてソロアーティスト・XIA(シア)という2つの軸で積極的に音楽活動を行い、日本にも、多くの根強いファンを持つ。今回、7月に行われた3年3か月ぶりの来日コンサート直前に、日韓リモート取材が実現した。

「長い間待ってくださっていた日本のファンの皆さんにやっと会えるので、ワクワクしています! ずっと日本に行きたかったのに、コロナのために行けなくて、残念な気持ちだったんです。やっぱり直接会うことが一番大切だと思いますから」

ジュンスさんは、ほぼ通年といってもいいほど舞台の上にいる。ミュージカルだけでも、現在韓国で公演中の『デスノート THE MUSICAL』終了後、今月末からは『エリザベート』の10周年公演がスタート。今回で4度目のトート役となるが、過去に大絶賛された当たり役を再演するプレッシャーと期待感は?

「半分半分です。観客の期待度が高くなるので、それを超えなければというプレッシャーはあるといえばあります。でも僕なりの解釈を改めて明確にして、アップグレードバージョンのトートをお見せしたいです」

ミュージカル俳優としてのキャリアは’10年の『モーツァルト!』から。その後『エリザベート』『デスノート』など出演作は軒並み大ヒット。K‐POPスター出身として、ミュージカルという新たな道を切り開いた第一人者だ。「今は、現役アイドルの方がミュージカルに出ることが普通になりましたよね」と感慨深そうに呟くのは、自身がミュージカル俳優として成功するまでにその経歴や肩書への様々な視線があり、プレッシャーも大きかったから。

「初めてミュージカルをやってみようと思った頃は、僕に大きな変化があって、これからどう生きていこうかと不安も大きくて。でもここで第二の人生を見つけた気がして自分にとって慰めにもなったし、ますますミュージカルを愛するようになりました。簡単な気持ちでこの世界に足を踏み入れたわけではないので、誠意を持って舞台に立ち続けたら、僕のミュージカルへの愛情をいつか観客の皆さんも分かってくださるはず、という思いで、頑張って頑張って頑張って、一生懸命やってきました」

全力で舞台と向き合って得られた、新たな居場所。

その努力の結果は、韓国の各ミュージカルアワードで数々の賞を受賞した実績が証明している。『モーツァルト!』では男性新人賞と人気賞、’12年『エリザベート』では主演男優賞を受賞。ミュージカル界で、その存在を認められた理由を自己分析するなら? と尋ねると、長いことじっくり考えた後、こう答えた。

「共演した俳優さんとか、周りの方々から言われる共通の言葉があって、それが“魂を削って演じてるね”なんです。“明日がないかのよう”とか。そう感じてもらえたことが理由なのかなと思います。でも、僕だけが全身全霊でやっているわけではないんですよね。どうして10年間ずっとそう言われ続けているのかは、自分でも分かりません(笑)」

ただ実際に、終演後はすべてを出し切り放心状態になるのだそう。

「特に『モーツァルト!』は、最後のシーンみたいに、本当に死んじゃいそうでした(爆笑)。あと『エクスカリバー』。この2つは、主人公が舞台に出ているシーンが多すぎです(笑)。楽屋に戻る暇もなくて、体力的に一番しんどい作品ですね」

観客から見ても全身全霊だと感じます、と伝えると「ありがとうございます」と、はにかんで笑う。普段は愛らしく柔らかな印象だが、ミュージカルでは“ドラキュラ”や“死そのもの”など非現実的な役を、あまりにも魅力的に演じてしまう憑依型。そのギャップでも人々を虜にしているが、一体どんな役作りを?

「キャラクターを表現する時に大事なのは、ジェスチャーや歩き方だと僕は思っています。幼い頃からダンスをしてきたので、割と自分の想像どおりにそれを表現できるほうかもしれないですね。僕自身と一番ギャップが大きかったトートは、それまでずっと“神的”な存在として表現されていました。でも、僕が初めて演じたのは20代半ば。重々しい声質でもないですし、無理に神々しく演じるより、僕の強みを引き出せるものをと考えたんです。トートはたまたま男性が演じていただけで、性別を特定する必要はないと解釈して、ネイルをしたり中性的でセクシーな表現にしたのが、幸い好評価につながったんじゃないかなと思います」

また「ミュージカルは何度も観に来てくれる方がいるので、少しでも違う表情を見せたくて、結構アドリブを入れるタイプ」だそう。そういった観客への思いやりは、今後の抱負にも表れている。

「今まで僕が出演した作品はほとんど悲劇なので、皆さん泣きながら劇場を出ていくんですよ。だから、帰る時に笑顔になれる作品にも挑戦したいです(笑)。明るいショーミュージカルなんかもいいですよね」

昨年は、独立して個人事務所を設立。所属俳優を抱える代表としても、新しいスタートを切った。

「以前はエンターテイナーとして表現することに専念していればよかったんですが、今は会社全体を把握して運営する責任があるので、楽しいけれど大変です。ただ僕も俳優なので、所属俳優たちの気持ちが分かるところは長所かもしれません」

さらに、そんな多忙な中で、最近はバラエティやラジオなど活動の場を広げてもいる。

「ミュージカルやコンサートばかりだと、チケットを買ってわざわざ観に来てもらうしかないんですよね。もっと気楽に、僕の自然な姿を見せたいという気持ちが大きくて。特に海外の方たちにはなかなか会えないでしょう? でも番組に出れば、映像で見ることができるから」

韓国で大きな反響を呼んだオーディション番組『ミスタートロット』『明日は国民歌手』では、音楽という夢に挑戦する参加者を評価する“マスター”としても活躍した。

「皆さん本当に切実なのが伝わってきて、デビュー前の自分を見ているようで、自分自身を振り返る時間にもなりました。僕はマスターという立場でしたけど、実は応援団長のような気持ちのほうが強かったです」

また、MONSTA XやSEVENTEENのメンバー、元SISTARのヒョリンなど、後輩との共演や交流、コラボも印象的だ。

「エネルギーをもらえますよね。僕にもあんな時代があったな~って(笑)。彼らの若いファン層に、僕の存在を知ってもらえるいいきっかけにもなりますし。ヒョリンさんは以前、同じくらいの時期にお互いグループ活動をしていましたが、今年のデュエットステージで仲良くなりました。僕と同じスタイルで、歌とダンス両方をこなす女性歌手として韓国でトップにいる方だと思います。共演したらいいシナジーが生まれるんじゃないかと思って挑戦したんですが、皆さんの反応が良くて嬉しかったし、本当に楽しかったです」

歌にダンスに演技にバラエティ。まさに万能エンターテイナー、ジュンスさんが考える、エンターテインメントの魅力とは。

「(しばらく悩んで)難しい質問ですけど、喜びを与えられること、ですかね。少しでも現実を忘れてもらったり休息してもらう…それが、僕たちが作るエンタメの役割じゃないかなと思います」 

ちなみにご本人がハマっているエンタメは「Netflix」だそう。

「でも、見すぎてもう見るものがなくなっちゃって。Netflixには初心を取り戻して、もっと頑張ってもらわないと!(笑)」

思いがけない可愛らしい言葉で場の空気を和らげてしまうのも、ジュンスさんの変わらない魅力だ。

キム・ジュンス 1986年12月15日生まれ。B型。2004年に歌手デビュー。’10年、『モーツァルト!』でミュージカルデビュー。同年、韓国の第4回ミュージカル・アワードで男性新人賞と人気賞を受賞。’12年、『エリザベート』で、第18回韓国ミュージカル大賞の主演男優賞ほかを受賞。ソロアーティストとしても、今年3月にミニアルバム『DIMENSION』、6月にJ‐JUN with XIA(JUNSU)として新曲『六等星』をリリース。CS衛星劇場で、音楽ヒーリングバラエティ『ジュンスのスロートリップ』放送中。“天使”にたとえられる愛されキャラも魅力。

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※『anan』2022年8月10日号より。写真・Kyungyoon Ryu スタイリスト・藤長祥平 Miyoung Noh ヘア・Ho Kang メイク・Nuri Kim コーディネート・Shinhae Song(TANO International) 取材、文・本田珠里

(by anan編集部)