副業をしている?
副業を認め、推進する企業が増えてきた今の時代。パラレルキャリアを実現したい人も多いよう。
「働き方改革の一環で、2018年から厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を作成し、大手企業も続々と副業を解禁しました。リスクヘッジやスキルアップ、気分転換、収入源の分散など、さまざまなメリットが考えられます」(「パラナビ」編集長・岡部のぞみさん)
「とはいえ、アンケートの結果を見ても、実践している人はまだまだ少ないようです。何を始めていいのかわからない方も多いでしょうし、本業に費やす時間が多いと、両方が中途半端になってしまう可能性もあります。でも、一方で、本業があることで副業にはゆとりのある気持ちで向き合えるという声も聞きます。また、本業の自分にはプライドを持てないけれど、それとは違う自分がいることが幸福感につながっているという人も。せっかく副業をするのであれば、お金を稼ぐというよりも趣味と実益を兼ねているものに挑戦しては。いつの間にか、そちらが本業になっているということだってあると思います」(キャリアアドバイザー・藤井佐和子さん)
では、実際、やっている人が多い副業とは?
「数字上の人気でいうと、ポイ活を含む投資やウーバーイーツのようなアルバイトになりますが、“憧れ”という意味での人気でいうと、インフルエンサーやクリエイター、Webマーケターやディレクターといったスペシャリストになります」(岡部さん)
Q. 現在、副業をしていますか?
はい…12%、いいえ…77%、今はやっていないが、やっていたことがある…11%
副業経験がある人は、約2割にとどまる。やりたいと思いながらも動けない人が多数か。「時間や体力的な問題や、責任が増えることに二の足を踏む人が多いのかも」(岡部さん)
Q. 「はい」「やっていたことがある」の人に、どんな副業をどのくらいの頻度&時間で?
- アンケートモニターを毎日やっている。(25歳・アルバイト)
- 服のセレクトと、オンライン販売。(26歳・会社員)
- 月に2件ほどイラストの受注販売。(28歳・パート)
- Webライターを週1日ほど。(31歳・会社員)
- 投資・FX。隙間時間に毎日やっている。(31歳・会社員)
- ハンドメイドでのもの作りと販売。毎日2時間ほど。(38歳・自由業)
アンケートモニターやコールセンターなど空き時間で働きやすい仕事に取り組む人もいれば、イラストやもの作りなど、自分のスキルを活かす人も。投資と回答する人もちらほら。
Q. 「はい」「やっていたことがある」の人に、副業を始めた理由は?(複数回答)
収入アップのため…51%、本業を続けられなくなった時に備えるため…19%、趣味を仕事に活かすため…11%、スキルアップのため…10%、持っているスキルを仕事に活かすため…10%、今後の転職準備のため…8%
仕事に対する不満や不安に「収入が少ない」という回答が多かったこともあり、1位は「収入アップ」という結果に。2位の「備え」も含め、安定を求めて始めた人が多かった。
Q. 「はい」「やっていたことがある」の人に、副業をしていて良かったことは?
- 人と話すことでストレス解消ができる。(33歳・自由業)
- やりたいことができているので、やりがいを感じられること。(26歳・会社員)
- いろいろな人と関われて楽しいし、学生時代にやってみたかった職種などに挑戦できて嬉しい。(37歳・会社員)
- 自分の名前で仕事ができる。(38歳・自由業)
- 収入が安定した。(29歳・パート)
人脈作りや起業についての知識がつくなど、スキルアップにつながった人も。やりがいを感じたり、ストレスの解消など、メンタル面でポジティブな効果を得たケースも目立つ。
学んでいること、学びたいことは?
“少しでも仕事に活かすことができれば”という思いもあってか、資格を取得している人が半数以上。
「資格は1つだけでなく、同じ仕事で活きるものを2つ以上取っておくことが大事です。たとえば、建築士とインテリアコーディネーターとか、キャリアコンサルタントと社会保険労務士などをダブルで持っておくと強い。また、忘れてはいけないのが、資格を取ったからといって仕事に就けるわけではないということです。まずは、自分のやりたいことを見つけることが大事。その実現を資格が後押ししてくれるのであれば、取った方がいいと思います」(藤井さん)
最近は、資格に限らず、趣味や自分の好きなことをとことん突き詰めることが、仕事へつながっていくケースも少なくない。
「365日、毎日チョコレートを食べて発信している出版社勤務の女性がいますが、本業のマーケティングにもいい影響があったそうです。また、ラーメン評論家やワイン好きなど、趣味が高じて仕事につながったという人も非常に多い。突き詰めれば他の人との差別化になり、SNSなどで発信すれば仕事になることも」(岡部さん)
「新しい職業を自分で作ってみるのもいいと思います。頭の中で考えていることを実際にやってみる行動力が大切です」(藤井さん)
Q. 資格を持っている?
いいえ…45%、はい…55%
55%の人が、何かしらの資格を持っていると回答。学校に通ったり、教材を買ったり、YouTube動画で学んだりと、それぞれの方法で地道に勉強して取得している。
Q. どんな資格を持っている?
- 看護師免許…手に職をつけたかったので、学校に通って取得。(29歳・会社員)
- 保育士資格、幼稚園教諭免許状、調理師免許…どれも好きなことだから取った。(29歳・パート)
- 栄養士免許、ヘルパー2級…食に携わりたく栄養士免許を取得し、介護施設の栄養士に興味があったのでヘルパー2級を取得して活かせるように。(35歳・会社員)
- TOEIC、スペイン語検定4級…自分の語学力を知るため、YouTube動画で勉強した。(38歳・会社員)
特に多かったのは、保育士、管理栄養士、簿記の3つ。「資格を取る時は、自分がどういう立場で何をやりたいかということを考えて選ぶことが大切です」(藤井さん)
Q. 仕事ではなく、自分自身を磨くために、身につけたいスキルは?
- 英語…洋楽や洋画をもっと楽しみたい。(25歳・会社員)
- フィギュア製作…好きなキャラを自分の手で作ってみたい。(35歳・会社員)
- 片付け、整理スキル…気持ちよく暮らすため。(33歳・会社員)
- 世界の文化に関する知識…旅行が好きなので知識があればもっと楽しめると思うから。(29歳・会社員)
- お金に関する知識…家計の見直しなどを行いたいため。(31歳・会社員)
- 民法等の知識、医学知識…今後の人生に役立つ知識を増やしたい。(34歳・会社員)
- ストレッチ、筋トレの知識…美容、健康維持のために。(28歳・会社員)
他にも、カラーコーディネーターや整理収納アドバイザー、ピラティスインストラクター、ジュエリーコーディネーターをはじめ、自分の興味に紐づいたさまざまな回答が集まった。
岡部のぞみさん パラレルキャリア情報サイト「パラナビ」編集長として働き方の多様なあり方を発信。本業とは別にメディアを運営するパラレルキャリアを実践。
藤井佐和子さん キャリアアドバイザー。『どんな職場でも求められる人になるためにいますぐはじめる47のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書多数。
※『anan』2022年4月20日号より。イラスト・北村みなみ 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)