画家ジュゼップ・バルトリは1910年生まれのスペイン人。風刺漫画家でありながらスペイン内戦時代の20代の頃は共和国軍の一員として戦う。’45年にはNYに渡り、マーク・ロスコやウィレム・デ・クーニングらとも交流。雑誌『ホリデイ』『サタデー・イブニング・ポスト』のイラストを手掛け、芸術家としての名声を確立した人物だ。そんな彼が30代の頃に体験したフランスの強制収容所での実話をアニメ化した映画『ジュゼップ 戦場の画家』が今、話題を呼んでいる。
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1939年2月、スペイン内戦の戦火を逃れようと、隣国フランスには大勢の難民が押し寄せていた。しかしフランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められた彼らは、劣悪な環境のもとで寒さや飢え、病気に苦しむことに。難民の一人だったジュゼップは、建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けた。若きフランス人憲兵セルジュは、そんなジュゼップに鉛筆と紙を与え、二人は固い友情で結ばれていくが……。フランス人憲兵の監視下に置かれ、理不尽な暴力を受けていた難民の姿を描くとともに、ジュゼップと心優しき新米憲兵セルジュが織りなす友情が胸を打つ。また実際にジュゼップが描いた絵は、収容所の凄惨な日常を後世へと伝える貴重な記録にもなった。

フランス出身のイラストレーターである監督のオーレル氏は、ジュゼップのスケッチに衝撃を受け、彼を「レジスタンスとジャーナリストの精神を持ち合わせた人物」と心からの賛辞を送る。人間の尊厳が容赦なく踏みにじられる極限状態の中でも希望を捨てず、ペンを執り続けたアーティストの生き様を伝えるには、動きやリズム、音響を備えたアニメーションが必要だと、自らの手で10年をかけて映画化した。

世界中に祖国を失った難民があふれ、人権問題もクローズアップされている現代社会を映しているともいえる本作は、映画ファンはもちろん、ジャーナリストや美術関係者、アニメファンからも称賛の声が。“生きる”という本質的なテーマを肉筆感溢れるスケッチで紹介した映像は、私たちの心に迫ってくるはずだ。

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『ジュゼップ 戦場の画家』 監督/オーレル 脚本/ジャン=ルイ・ミレシ。2020年、カンヌ国際映画祭正式出品。アテネ国際映画祭観客賞、脚本賞ほか、数多くの賞を受賞。8月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。©Les Films d'Ici Mediterranee - France 3 Cinema - Imagic Telecom - Les Films du Poisson Rouge - Lunanime - Promenons - nous dans les bois - Tchack - Les Fees Speciales - In Efecto - Le Memorial du Camp de Rivesaltes - Les Films d'Ici - Upside Films 2020

※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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