山田孝之「ひたすら食べて10kg増やした」 満島真之介&玉山鉄二『全裸監督』2に魂を注ぐ
山田孝之×満島真之介×玉山鉄二。激情のアウトプット。
アダルトビデオ業界で名を馳せた村西とおるを山田孝之さんが演じた『全裸監督』の続編が配信中。かつての相棒でヤクザとなったトシを満島真之介さん、村西と会社を立ち上げた川田を玉山鉄二さんが演じる。
――‘19年のシーズン1の反響は?
山田:「クオリティ高いね」とか「お金かかってるね」とか、今までのどの作品よりも、知り合いから届いたメッセージの数が多かったです。
玉山:これまで日本というとアニメばかりでしたが、海外でドラマが評価されたのは嬉しかったですね。あと、みんなNetflixの現場に興味があって、シーンにかける時間や予算、役者のケアとか聞きたがるんですけど、まずお弁当が温かい。
満島:温かいものが出るだけで、スタッフの表情も変わりますよね。「一日頑張ってきてよかった」って。
山田:コロナ禍での対応も早かったですね。昨年3月に、1回目の緊急事態宣言が出る前に中断を決めて、6月に再開した時には、消毒や換気が専門の衛生部ができていました。
――シーズン1で巻き起こった賛否両論はどう感じましたか?
玉山:日本のコンテンツ作りは、“否”を恐れるあまりにセオリーから外れることを怖がり、純粋に物語を作れなかったと思うんですよ。でも、“否”が出ることと、作品を作る/作らないのジャッジメントは関係ないんじゃないかな。
山田:どんなことでも必ず賛否両論あるのに、そもそも“否”を気にする理由がわからない。もちろん“否”を無視するわけじゃなくて、ちゃんと受け止めます。でも、否定されるのが怖いなら、作らなければいい。それが、モノを作る覚悟です。
満島:企画段階で、この業界を描くことに業界の人も二の足を踏んでいたけど、僕はこの作品に魂を注がずして何に注ぐのって思いました。
山田:真(満島)は、『全裸監督』もやって『おかあさんといっしょ』の映画版にも出てるでしょ。ポスター見て「この人、最高」と思った。
――シーズン1から約2年。すぐに役の感覚は取り戻せましたか?
山田:普段は完全に役を忘れる作業があるんですけど、この作品については最初からシーズン2をやることがわかっていたので、常にどこかに気持ちが残っていたんです。この2年、ずっと太ってましたしね(笑)。
満島:僕、痩せている山田さんを見たことがなくて。今日やっと本来の山田さんに会えました! シーズン1とは太り方が違いますよね?
山田:1は筋肉をつけながら太って、2の時はひたすら食べて脂肪だけで10kg増やしたんだけど、大量に食べたからお金がかかって大変だった。
玉山:成り金感があってよかったよ。
満島:シーズン1から2で昭和から平成に移り変わったことが、山田さんの体つきの変化で感じられました。
玉山:そういえば、シーズン1で孝之がほとんど出ない回があったでしょ? 通常のドラマじゃありえない。
山田:それは、本を作る前から提案しました。「この人が主役」みたいな作り方じゃないほうがいいって。
――シーズン2では、3人の人間模様がより深く描かれていきますね。
満島:シーズン1は、突き進む村西、真面目にエロを欲する川田、周りと二人を繋ぐトシのトライアングルが絶妙なバランスで成立していたんですけど、シーズン2ではトシがヤクザの一員になることでトライアングルが崩れ、関係が歪み始めます。
山田:村西監督の周りからフォローする人もサポートする人もいなくなって、どんどん孤独になっていく…。
玉山:バブルでイケイケの時代に、村西は資本主義的になる一方で、川田はただ興奮したい、それだけ。究極のピュアで、村西が作った黒木香作品が忘れられず、ひとり部屋で観賞中、黒木本人に見られ、慌ててティッシュで拭くシーンもあります。
山田:あそこは「鉄さん(玉山)、仕込んでるわ~」と思った(笑)。
――シーズン2では、村西監督が「エロを空から降らせる」と衛星放送業界に進出します。みなさんには、そうした壮大な野望はありますか?
山田:鉄さんにはないでしょ?
玉山:ない。野望が原動力になる人もいるだろうけど、強すぎると邪念になって判断を間違えることもある。
山田:周りや他のことが見えなくなることもありますよね。僕も野望はないけど、希望はあって。来世は水になりたい。大切なのに厄介者として扱われたり、山の奥で絶景の一部になったり、下水として流れたり…。
満島:僕は、こうしてお二人を見ながら、髪を伸ばしたいと思いました。
玉山:ちっちぇ野望だな(笑)。
Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』 平成バブル期、村西は巨額の資金を衛星事業に費やし、右腕の川田らが離れていく。一方、ヤクザになったトシも精神的に追い詰められていた。他に森田望智、恒松祐里らが出演。Netflixにて全世界独占配信中。
やまだ・たかゆき(一枚目写真・中央) 1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。主演映画『はるヲうるひと』、長編映画初監督作品『ゾッキ』が公開中。シャツ¥59,400(Y’s/ワイズ プレスルーム TEL:03・5463・1540) その他はスタイリスト私物
みつしま・しんのすけ(一枚目写真・左) 1989年5月30日生まれ。沖縄県出身。NHK大河ドラマ『青天を衝け』、『テレビでハングル講座』(NHK Eテレ)に出演中。ジャケット¥52,800(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE TEL:03・5454・1705) シャツ¥49,500(UJOH/M Incorporated TEL:03・3498・6633) シューズ¥77,000(Paraboot/Paraboot AOYAMA TEL:03・5766・6688) その他はスタイリスト私物
たまやま・てつじ(一枚目写真・右) 1980年4月7日生まれ。京都府出身。Netflixオリジナルシリーズでは『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』などにも出演。
※『anan』2021年7月14日号より。写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・五月 桃(ROOSTER/山田さん) DAN(満島さん) 袴田能生(juice&juicy/玉山さん) ヘア&メイク・灯(ROOSTER/山田さん) 齋藤将志(満島さん) TAKE(3rd/玉山さん) 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)