いきものがかり、“放牧”を経て変化 新たなチームワークとは?

エンタメ
2021.04.04
ニューアルバム『WHO?』をリリースした、いきものがかり。昨年予定していた2度の全国ツアーが開催できなかったこともあり「今だからこそ届けたい」、渾身の作品だ。

今は高校時代の3人みたいに「これやりたい!」って素直に言える。

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「この一年、コロナ禍で誰もが未来を描くのが難しい状況になって。それでも季節は巡るし、何かを失っても前に進んでいく悲しさと強さを踏まえた上でどう生きていくか。そんなテーマが軸にあります」(水野)

「昨年の春は自分たちで事務所を立ち上げたタイミングでもあったので、山下がSNSを始めたり、水野が楽曲提供をしたり、できることを探して。そのせいかこのアルバムの曲たちは物語というより自分たちの気持ちがすごく入り込んでる。『生きる』や『TSUZUKU』といった死生観がテーマの曲もあったりして、強いな、って思います」(吉岡)

取材では冒頭から吉岡さんが3人を代表して話してくれる場面が多く、デビュー当時から取材をしてきた筆者はその変化に驚いた。率直に伝えると彼女は恥ずかしそうに笑う。

「いやいや(笑)、今は一人一人がいろいろと考えなきゃいけなくなったし、それを楽しんでいます。放牧(2017年~‘18の活動休止)が終わった時にもっと能動的にやっていこうってみんなで決めたから。高校生の頃に3人でやっていた時のことを思い出して、『あれやりたい!』『これやりたい!』って素直にやってるよね。それがこの、お喋りな私に繋がっています(笑)」(吉岡)

では吉岡さんが広報担当だとしたら、水野さんは実際に社長として細かい業務にも追われる日々。山下さんはそれを「温かく見守ってます」という新たなチームワークの3人。今作でも全員で曲を持ち寄った。

「『もう一度その先へ』の歌詞はコロナ禍を経て書き直しました。今だからこそ書けた曲ですね」(山下)

「私は『明るいアップテンポの曲を作って』と言われて『チキンソング』を。男子にコーラスで騒いでもらうイメージで書きました」(吉岡)

他にも、インディーズ時代の恋愛ソング「からくり」を今の3人で味わい深く鳴らしたり、自問自答するようなメッセージで新境地を響かせる「BAKU」など、濃厚な作品だ。

「放牧前までは特に、曲から個人的な想いが前に出ないようにしてて。聖恵もあくまで語り部として自分の感情を出さず歌ってきたと思うんですけど、そのバランスが良い意味で崩れてきてる。僕らの想いが滲み出ても、いきものがかりとして出せばポップスとして成立することを信じられるようになったんです」(水野)

「そして『WHO?』というタイトルには、自分はどういう人間なんだ、どうやって生きていくんだ? って考えながら毎日を過ごしている、みんなの想いと照らし合わせながら聴いてもらえたらという想いを込めています。広報隊長からは以上です!(笑)」(吉岡)

写真左から、水野良樹(Gt)、吉岡聖恵(Vo)、山下穂尊(Gt&Harmonica)。2006年3月15日『SAKURA』でメジャーデビュー。以降『ありがとう』や『風が吹いている』などヒット曲を多数生み出す。4月から全国ツアーが開催される。

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9thアルバム『WHO?』。映画『100日間生きたワニ』の主題歌「TSUZUKU」など全9曲。【初回生産限定盤(CD+DVD)】¥4,180 【通常盤(CD)】¥2,970(EPICレコードジャパン)

※『anan』2021年4月7日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・Remi Takenouchi(W) 取材、文・上野三樹

(by anan編集部)

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