地元・京都の味からヒント 気鋭ショコラティエのオリジナルチョコ

2021.1.15
世の中が大きく変わりつつある今、チョコレートの世界でも新世代が活躍。確かな実力と個性でチョコレートファンを魅了する、絶対に目が離せない気鋭シェフをご紹介します。

個性で魅せる新進気鋭のショコラティエとは?

チョコレートの世界にも“新しい時代”が到来。次世代を担うパティシエやショコラティエが台頭するなか、スイーツライターのchicoさんに、今の潮流と注目すべきシェフについて聞いた。

「チョコレートはショコラティエの個性で選ぶ時代になりました。その風潮が濃くなったのは、サロン・デュ・ショコラの影響が大きい。世界中のショコラティエが集結する祭典で、つくり手と会話をしたり、その思想にふれる機会が多くなりました。SNSの普及もあって、ショコラティエとの距離感が近くなったぶん、個性で選ぶ人が増えたのだと思います」

固定観念に囚われずに才能を発揮するミレニアル世代の存在が、チョコレートファンの裾野を広げているとも。

「和の素材を取り入れた繊細なショコラが得意な村田友希シェフや、地方の生産者とのつながりを大切にスイーツと向き合っている瀧島誠士シェフのようにアイデンティティを生かす思想も広がっている。テーマに合わせた世界観をきちんと構築している斎藤拓野シェフ、遠藤泰介シェフもますます飛躍の予感。店舗を持たずに活動する上妻正治シェフや関西のショコラ文化を活性させている小野林範シェフ、西剛紀シェフにも注目です」

nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO

村田友希

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“ものづくりの街”でチョコレートの魅力を発信。

古くから“ものづくりの街”として栄えた日本橋浜町。2019年に開業したホテルの一画にオープンした『nel CRAFTCHOCOLATE TOKYO』には、シェフショコラティエの村田友希さんがカカオ豆から厳選した、オリジナリティあふれるチョコレートが並ぶ。

「京都のマウンテンでは、水野シェフにチョコレートといかにして向き合うかを教わり、フランスのヴァル=ディゼールでは、土地の素材を生かす知恵を学びました。またルクセンブルクで感じたのは、国内最大手の洋菓子メーカーで効率よく、丁寧に仕事をする大切さ。そのすべてをこの“手しごとが見える街”で僕なりの方法で表現していきたいと思っています」 

得意とするボンボンには、柚子や青紫蘇といった和の素材を使用。地元の京料理から新作のヒントを得ることもある。

「フレーバーがカカオの風味を超えないバランス感を一番大切にしています。この場所で、ショコラティエとしての手しごとを追求していきたいです」

Food

パンやヨーグルトにかけたり、カレーのトッピングにも使えるcaca o caca(中右¥850)や、濃厚なカカオカード(中左¥1,100)はギフトにも。

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京都の錦市場で見つけた青実山椒のフレッシュな香りをとじこめた山椒(右)とキャラメリゼした胡麻をペースト状にした胡麻(左)各¥350。

むらた・ゆうき 1989年生まれ。京都市内の洋菓子店にてパティシエとしてスタート。福知山『洋菓子マウンテン』で水野直己氏に師事。フランスなどでキャリアを積み、’19年、現店舗のシェフショコラティエに就任。

nel CRAFTCHOCOLATE TOKYO 店内ではアシェットデセールも提供。●東京都中央区日本橋浜町3-20-2 HAMACHO HOTEL1F TEL:03・5643・7123 10:00~18:00 不定休 12席

chicoさん スイーツライター&コーディネーター。スイーツのトレンドに精通し、女性誌やウェブを中心に執筆。スイーツの商品開発なども手がける。『東京の本当においしいスイーツ探し』シリーズを監修。共著に『東京最高のパティスリー』がある。

※『anan』2021年1月20日号より。写真・田尻陽子 取材、文・小寺慶子

(by anan編集部)