崎山蒼志、ついにメジャーデビュー「パンクな崎山がずっといる」

2021.1.9
自作曲「五月雨」の演奏がSNSに流れ、スガ シカオさんや岸田繁さん、川谷絵音さんら、大物ミュージシャンが絶賛! それから約2年半。無限の可能性を秘めた現役高校生ミュージシャン・崎山蒼志さんが、ついにメジャーデビュー。
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高校1年生の時、配信番組のフォークシンガー発掘企画に出演。その鋭い感性と4歳から培ってきたギターテクニックで、多くの音楽フリークを虜にした崎山さん。揺らぎのある声や歌い方にも、一瞬にして心を掴まれてしまう。

「声変わりする前から、クリープハイプさんの曲を歌っていたり、変声期中もずっと歌っていたので、その時の声が出ている部分もあるかもしれません。本当は変声期に歌わないほうがいいらしいんですけど、世阿弥は歌ったほうがいいと。その教えに従ったわけではなくて、後付けしましたけど(笑)」

崎山さん特有の言葉が連なる歌詞は、バックミュージックとして聞き流すことができない。そう伝えると「恐縮です」とぽつり。

「ありがたいのと同時に、僕の曲を聴くために、みなさんの時間を取ってしまうことが申し訳なくて…。歌詞には文学の影響があると思います。本は、中学に入ってから中村文則さんなどを読み始めました。最近好きになった内田百閒や大江健三郎さんの作品も好んで読んでいます」

曲作りで大切にしているのは、「未聴感」で、「怒り」が原動力になっているそう。

「聴いていて“えっ、何!?”と思うような、刺激的な音楽に惹かれるんです。自分が作る曲にも、そうした衝撃を求めています。どんな曲を書く時でも、パンクな崎山がずっといるんですよね。自分でもよくわからないんですけど、ずっと怒ってます。自分に自信があったのは、小3まで。ビジュアル系を聴いて、ドクロの服を着て帽子を斜めにかぶってました(笑)。小4でメガネをかけ始めて、世間を知れば知るほど自信が…」

そうした多感な時期に曲作りをスタート。配信番組で歌い、自身を代表する曲となった「五月雨」の創作時はまだ中学1年生。その冬、崎山さんが感じていた衝動がほとばしる。

「当時はまだ子どもですし、人間関係とかよくわからないじゃないですか。怒りが湧いてくる悲しいニュースもいっぱいあって、ウワ~ッとなった気持ちを曲にぶつけました。でも、歌うにつれて、歌詞の意味合いも書いた当時とは自分自身の解釈が変わってきていますし、コード進行も変えたりしながら、この曲と一緒に成長している感覚があります」

そんな大切な曲をバンドバージョンで再定義した「Samidare」を含むアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビューを果たす。

「春から社会人になる節目のタイミングで、過去から現在に感じていた初期衝動や若さみたいなものを表現した総括的な作品になりました。制作期間中にコロナ禍になって、生死を意識するようになり、因果論的な曲やより自然に目を向けて書いた曲も入っています」

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最近は禅への興味が出てきたそう。

「NHK Eテレの『こころの時代』という番組が大好きで、正眼僧堂師家の山川宗玄さんの禅の知恵に学ぶシリーズにグッときました」

早くに音楽の才能を開花させた崎山さん。どんな可能性を自身に感じるのだろう。

「いろいろある気がします。それは、誰にでも。流された先に見つかる新しい可能性もありそうですし、生きている限り、何だって好きなことをやっちゃえばいいと思うんです」

さきやま・そうし 2002年8月31日生まれ、静岡県出身。’18年、ABEMA『日村がゆく』への出演をきっかけに世に知られる。同年、「夏至」「五月雨」を配信リリース。ファーストアルバム『いつかみた国』も発表。’19年、セカンドアルバム『並む踊り』を発売。’21年1月27日、アルバム『find fuse in youth』でメジャーデビュー。それに先駆け、’20年11月1日に「Samidare」、12月1日に「Heaven」、’21年1月1日に「Undulation」を連続配信リリースした。

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「日村がゆく」©AbemaTV,Inc.

※『anan』2021年1月13日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・福島加奈子 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)