肺を養うのは深夜3時~5時! 漢方的、時間別“理想の過ごし方”

2021.1.4
憂鬱な時期を、体質別養生で快適に。中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「時間と漢方」です。
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冬至を過ぎ、今年もあとわずかとなりました。日が短く、年末の慌ただしさもあって、体のリズムを崩しやすい時期です。今回は漢方的な視点から、一日の体のリズムに沿った理想の過ごし方をお伝えしたいと思います。

心(しん)や肝(かん)などの体を構成する「臓腑(ぞうふ)」は、常に体内を巡る「気」や「血(けつ)」によって養われているとするのが中医学ですが、このとき、気血がとくに多く流れ込む時間は、臓腑ごとに少しずつ異なると考えられています。この気血が注がれるタイミングによって各臓腑は活発になったり休んだりするため、人間もそれに合わせて行動することが、養生につながります。

例えば朝7時から11時の間は、消化器官である「胃」や「脾(ひ)」が活発になるとき。この時間にきちんと食べることで、栄養を効率よく活用することができます。午後3時から7時は、膀胱と腎臓の時間です。それに則れば、3時の休憩には利尿作用のあるお茶を飲んで排泄を促し、仕事帰りには腎を刺激するためにひと駅分歩く。そんな過ごし方が理想的というわけです。

そしてとりわけ大事なのが、夜の時間帯です。夜11時から翌1時の間は、消化を進めると同時に体の中を掃除する「胆(たん)」が活発になる時間帯。続く1時から3時は、体を巡っていた血が肝に戻り、浄化される時間です。血は肌や髪を養いますが、目を使うことで消耗される物質でもあります。夜11時から3時の間に起きていると胆が働けないために脂肪が蓄積し、きれいな血が蓄えられないので肌や髪にも悪影響。ダイエットにも、美容のためにも、夜更かしはやはり厳禁です。

そのあと、3時から5時は肺の時間。きれいで新鮮な空気で、肺を養うときです。とくに呼吸器のトラブルに気をつけたい昨今、この時間もしっかりと眠っていることが大切ですね。

養生は、未来を健康に過ごすための土台作り。

さて、1年にわたり日々の養生を紹介してきたこのコーナーも、今回が最後となりました。養生とは長い中医学の歴史のなかで積み上げられてきた、次の季節、そして未来をより健康に過ごすための知恵の集大成です。自分に合う部分だけを抜き出し、活用する。そんなスタンスでいいので、ゆるく、楽しみながら続けてもらえたらと思います。どうぞ、この年末も健やかに。そして良い新年をお迎えください。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/

※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。イラスト・momokoharada 文・新田草子

(by anan編集部)