岡崎体育(以下、岡):「いつか一緒にやりたいね」と言い合うのってけっこうミュージシャン同士の社交辞令あるあるなんです。でも、それをその場限りの言葉にしないで、行動に移してくれたのはビッケさん。
ビッケブランカ(以下、ビ):僕、そういうのイヤなんです。やると決めたらちゃんと行動しないと。最初の一歩を踏み出すのは得意なのでレーベルと話して正式なオファーを体育さんにさせていただきました。
岡:引っ張ってくれてありがとう。
ビ:体育さんはいっつも空気を読みますからね。京都の方だから。壁が一枚二枚の先に障子が三枚も四枚もある。オンラインでサッカーゲームしている時だって、実際にフットサルやろうよって話になってから実現するまでに何年かかった?
岡:……それも2年くらい?
ビ:それだって僕が日時決めてコートを予約してやっと実現したんすよ。
岡:でも僕、シューズと審判の笛も買ってちゃんと準備してたで。
――互いのことを「きつね」「たぬき」と呼び、違う個性でありつつ音楽へのシンパシーをハッピーなダンスミュージックに落とし込んだ「化かしHOUR NIGHT」。昔話のように“同じ山を目指した”2匹のケモノは“まるで透明な鏡を見てるみたい”によく似ていた。茶化しながら、“こうやって何十年もばかしていたいね”と歌う二人の友情がくすぐったくも愛らしい。
岡:聴き心地いいポップさと今っぽい四つ打ちテックハウス。その絶妙なブレンドはアレンジを担当してくれたビッケさんならでは。一緒に制作をして、いざやるとなったらの集中力のすごさに驚かされました。
ビ:まず、体育くんが作曲してくれて、それを踏襲しながらトラックを作りました。ビッケブランカと岡崎体育、それぞれのらしさが出ていると思います。この二人でしかできないことができたよね。大きい音で聴いてほしい。デシベル勝負です。
岡:ビッケさんはいつも全力、本気なのがめっちゃ素敵なんです。本当に熱い男。ゲームをしていてもめっちゃ熱い台詞言ってくれるし。
ビ:ゲーム内で体育くんを助けられなかった時ね。思わず「守れなかったー!」って叫んじゃった。
岡:それ、映画の主人公が言うやつやんと思いました。
――当初、実は二人でバラードを作ろうとしていたという裏話もちらり。
岡:なんとなく、卒業ソングを作ろうという話になったんだよね。
ビ:だけど、持ち寄った曲が単独でよすぎて合わせられないぞって(笑)。
岡:でも、いつかバラードもやってみたいよね。
ビ:だから、正式に二人の活動名を決めてやっていこうよ。“ライクアニマルズ”っていうのはどう?
岡:……なんか、プロレスラーのリングネームみたいでイヤ!
楽しい二人の“ばかしあい”。まだまだ、当分は終わらなそうだ。
ビッケブランカ 1987年生まれ、愛知県出身。2016年メジャーデビュー。ドラマ挿入歌の「まっしろ」やSpotifyのTVCM曲「Ca Va?」が大きな話題に。得意のゲームを活かしたeSportsストリーマーとしての活動も注目を集めている。
おかざきたいいく 1989年生まれ、京都府出身。2016年、アルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。TV、映画など俳優活動やバラエティ出演などマルチな活躍も。本誌で「岡崎体育の体育ですけど、オンガクです。」を連載中。
ビッケブランカと岡崎体育それぞれのvocal onlyバージョンも収録。二人のトークを存分に味わうオーディオコメンタリーも。『化かしHOUR NIGHT』【CD+DVD】¥2,000 【CD ONLY】¥1,000(avex trax)
※『anan』2020年11月4日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・梅原加奈
(by anan編集部)