笹生那実さんの『薔薇はシュラバで生まれる』は、’70年代の少女マンガ誕生をめぐり、元アシスタントの目線から裏話が楽しめる貴重な一冊。

70年代少女マンガ。金字塔的作品が次々と生まれた舞台裏はこうだった。

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「もともと10ページくらいしかなかったマンガを、エピソードを足したり膨らませたりして1冊分に描き直しました。読者が『へえ~っ』と驚くような秘話をこぼさないようにしようと意識しました」

くらもちふさこさんの『わずか5センチのロック』や山岸凉子さんの『天人唐草』についての感動的な秘話、樹村みのりさんが笹生さんにかけてくれた温かな励ましの言葉…。どの逸話も濃い! そして面白い!

驚くのは、笹生さんご自身が〈私の頭の中が録画保存庫だった〉と振り返るように、ほぼ記憶だけで描かれているという点。

「詳しく“記録していた”のは美内すずえ先生と大ファンだった中学生の私との初対面の話だけです。その手帳を発見したときには、我ながら『なんて不気味な中学生なんだ…』と驚きました(笑)。正確な時系列までは覚えていないので前後している部分もあるかもしれませんが、他のエピソードはすべて記憶だのみです」

また、作中に登場する美内さんや故・三原順さんら諸先生方のご尊顔が、それぞれが描く絵にみなよく似ている。そんなワザも、読んでいて胸がときめくポイントだ。

「当初、先生方のお顔をどうするかはすごく悩みました。当時のお写真もないのに、ご本人の似顔絵にするのは無理。というか、芸能人じゃないのだからそっくりに描いたところで読者には意味がないし…と悩んでいるうちに『そうだ、その時代に各先生方が描かれていた絵柄を使って先生のお顔を描こう!』と思いついたんです。読者もこれなら『この絵柄はまさしくあの先生』と、すぐにわかってくれるだろうと」
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本書を描く前から、’70年代当時の名作少女マンガを後世に伝えていきたいと思っていた、と笹生さん。

「同時に、それらが描かれたのはどのような時代だったかを伝えることで、それぞれのマンガの良さがさらに十全に伝わるのではないかとも思いました。作品を読むだけではわからない時代背景も伝えたいという気持ちは、最初から強くありましたね」

熱き制作現場や先生とアシスタントたちの連帯に、拍手喝采。

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さそう・なみ マンガ家。32歳で引退後、同人活動などを経て32年ぶりに本書を出版。次は'60年代少女マンガをリスペクトした作品を描きたいとのこと。

『薔薇はシュラバで生まれる~70年代少女漫画アシスタント奮闘記~』 著者がアシスタントを務めた、巨匠たちの仕事ぶりと交流。創作秘話や笹生さんらアシさんたちの青春模様もたっぷりと詰め込まれている。イースト・プレス 1091円 ©笹生那実/イースト・プレス

※『anan』2020年5月27日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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