「消化力UP」で花粉症や冷え性が改善 体のメカニズムを医師が解説
美と健康のカギを握るのは消化力。
「消化力は、健康や美容にとって最も重要なカギだといえます」
とは『消化力』の著者で、医師の西脇俊二先生。
「せっかく摂ったカラダや美容にいいはずのものも、消化力が弱まっていたり、消化によくない食べ方をして体内にとどまると、活性酸素を発生させる原因に。すると、細胞が老化し、さまざまな病を招いてしまうのです」
西脇先生による消化の定義は、消化そのものだけでなく、消化・吸収・代謝の一連の流れを指す。
「摂取した食べ物は、カラダに取り入れやすくするために消化器官で分解する“消化”、消化器官から体液中に取り込まれる“吸収”、そして、吸収された栄養素をカラダにとって必要な物質に変える“代謝”を経て、はじめて消化されたといえるので、吸収や代謝も含めて“消化”ととらえたほうがいいのです」
一連の流れが滞り、消化力が低下すると、心身に不調が現れる。
「消化力が弱まると、ホルモンなどがうまく生成されず、消化液をコントロールする自律神経のバランスが崩れ、消化力がさらに弱まるという悪循環に。また、未消化物が腸内に溜まると、腸が炎症を起こし、腸壁に隙間ができて、そこから未消化物が体内に入り込んでしまいます。それが異物として認識され、アレルギーや肌荒れなどを起こすのです。さらに、腸と脳は相関関係にあり、消化力の低下したカラダが、精神面に及ぼす影響も少なくありません。裏を返せば、消化力を高めることで、カラダが健康になるだけでなく、前向きな気持ちにもなれるのです」
消化力に注目すべき重要な理由がもうひとつ。
「人間のカラダが使う1日のエネルギーのうち、4割を消化関連の活動が占めています。だからこそ消化力を高める効率的な食習慣を身につけてほしいのです。腹八分目を心掛け、よく噛み、空腹を感じてはじめて次の食事を摂ることが基本。そして、消化力を下げる糖を控えることも大切です」
消化力UPのキーワード
断糖
現代人は糖分を摂りすぎる傾向にある。使い道のない糖の余剰分が、消化力ダウンの原因に…。まずは1食、そして1日と糖分を断ち、肉や魚などタンパク質中心の食生活に!
空腹
前の食事が胃の中に残ったまま、新たに食べ物が入ってくると、消化の途中で腐り、毒素を発生させ、消化力が低下してしまう。空腹の状態を作るために、間食は控えて。
消化力が上がれば、すべてが改善!
- 胃痛
- 胸やけ
- 肩こり
- 腰痛
- うつ病
- 冷え症
- 貧血
- 花粉症
- 蕁麻疹(じんましん)
- 口内炎
- 低血圧
- アレルギー性鼻炎
- 骨粗しょう症
- パニック障害
- 月経困難症
西脇俊二先生 「ハタイクリニック」院長。アーユルヴェーダを積極的に取り入れるなど、西洋医学にとどまらない医療に対応する。ドラマ『相棒』などの医療監修も。主な著書に『消化力』(ワニブックス)がある。
※『anan』2020年4月29日号より。イラスト・酒井真織 構成・菅野知子 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)