意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「反緊縮」です。

先に借金を減らすか雇用をまず生むか日本は揺れている。

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現在、世界で「反緊縮(財政)」を支持する声が広がっています。緊縮財政とは、増税や公共投資の削減により、国の支出を減らして財政を縮小することです。経済危機に陥ったギリシャは、EUから緊縮財政を促され、公共工事や公務員の数を減らしました。そうして赤字国債の発行を抑え、国の借金を減らそうとしたのです。しかし、緊縮財政にすると失業者が増え、国民の消費は冷え込み、経済がよいほうに転じません。それよりも、まず先に国はお金を投入して公共工事をガンガン増やす。そうすれば、労働力、資材、業者が必要になり、新たな雇用が生まれます。長期工事になれば、ホテルや食堂の需要も喚起されます。緊縮財政よりも「反緊縮」財政策をと、いま、アメリカやフランスなどでも反緊縮ムードが高まっているのです。

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日本では、2013年のアベノミクス第1第2の矢で、大胆な金融緩和と大規模な公共投資を掲げていました。雇用をまず生んでから消費の活性化を狙う、いわば反緊縮策でした。ところが、日本の慢性的な財政赤字に、国際社会から「そんなに負債を抱えて大丈夫?」という指摘がなされました。IMF(国際通貨基金)によると、日本の債務残高は、GDP比で237.7%。ドイツの58.6%やアメリカの106.2%に比べてダントツの多さ。財政健全度ランキングでは最下位の188位でした。そこで、安倍政権は、2020年度までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字にすると約束。緊縮財政に転じ、「だから、安心して日本に投資してください」とアピールしました。しかし、目標達成は難しく、期日は延期されました。

日本の借金は、国債を発行してまかなわれています。国債を購入しているのは日本銀行や民間の銀行。ほぼ日本人なので、国全体でみれば、借金を増やしても同等の資産が日本に貯まるため、財政破綻はしないと考えられています。しかし、国債を買う日本人は減少傾向。一方、高齢化により医療費や社会保障費は嵩み、国の借金は膨らむばかり。借金を返したいのなら、増税ではなく反緊縮に舵を切れと、れいわ新選組などが主張しているのです。

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堀 潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。映画『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)が3月7日公開。

※『anan』2020年1月15日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)



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