Q.乳がん検診は受けたほうがいいと思いますか?
YES…93%、NO…7%
anan読者世代の20~30代の女性100人にアンケート。乳がん検診は、若いうちからほとんどの人が、かなり意識しているよう。
ところが! 「どんな人でも必ず毎年受けなきゃ!」というその認識、実は間違っているかも!?
アンケートには「若い女性が乳がんになったという報道を見た」など不安の声がさまざま。それに加えて“乳がん検診を受けましょう”という運動を目にする機会も多いようで、「私も行かなきゃ」との意識が働く模様だけれど…。
「厚生労働省が科学的根拠をもとに推進しているように、乳がん検診が必要なのは、基本的には40歳以上。20~30代の人は、あまり意識しなくていいんです。乳がん啓発運動で知られる『ピンクリボン』が行っている検診への呼びかけも、40歳以上の人に向けられています」(医学博士・福田護先生)
とはいえ、やっぱりなんとなく心配という場合は、20~30 代でも検診を受けるのはアリ?
「若いうちからの闇雲な検診は、デメリットも伴います。それを理解したうえで、受けるか否か判断するのが賢明です」(医療ジャーナリスト・増田美加さん)
検診を考える前に知っておきたい6つのこと。
【1】乳がん検診が本格的に必要になるのは40代から。
乳がんは、日本人の女性の11人に1人が発症するといわれていて、女性のがんの中でも罹患率は1位だという統計がある。
「ただし、その多くが40歳以上で、乳がんは若い人には非常に少ない病気です。とくに20代の人が検診を受けても、ほぼ『異常なし』となります。にもかかわらず、検診方法の一つであるマンモグラフィは、X線撮影を行うため、少量ではありますが放射線を浴びるなど、若い頃から継続すれば体にとって負担に。ほかにも時間や費用がかかることを考えると、20代では一部の例外を除き、検診の必要はないでしょう。乳がんは30代後半から増えてくるので、その頃から考え始め、40代からはすべての女性に必要となります」(福田先生)
【2】近親者で乳がんを発症した人がいたら20代でも注意。
乳がん検診は、「40代から必須」とのことだが、20~30代の人も気をつけたほうがいい場合がある。
「近親者の中に乳がんや卵巣がんになった人が複数いたら、注意が必要です。自分も乳がんや卵巣がんになりやすい遺伝子変異がある可能性があり、それがあるとほかの人と比べて10倍ほど乳がんになる確率が上がります。20~30代のうちに、一度、検診をしておくと安心でしょう」(福田先生)
さらに、30代後半からは家族歴以外に、乳がんの“リスク因子”も考慮することが大切に。
「乳がんの原因は、女性ホルモンの影響や、都市型の生活が関係しているともいわれています。初経が早く、妊娠や授乳をする機会が少ない人や、栄養過多な生活をしている人は、その蓄積で乳がんを発症するリスクが高まる可能性がある。30代後半はこうした影響が出始める年頃なので、家族歴がなくても、リスク因子に心当たりがあれば、検診をおすすめします」
【3】一度受けて問題がなければ毎年は受けなくてOK。
アンケートでは「会社の検診でなんとなく毎年受けている」という20代の女性もいたが、受け身の意識は見直したほうがよさそう。
「もしも家族歴がなく20代のうちに検診を受ける機会があって、異常なしという結果が出たら、次の検診は5年後でも大丈夫。検診が必須の40代以降でも、毎年受ける必要はありません。マンモグラフィの検診で異常なしであれば、次は2年後に検診を受けてください。あまりナーバスにならないようにしましょう」(福田先生)
【4】検診以上にお胸のセルフチェックを習慣にするほうが大事。
家族歴やリスク因子のない20~30代は、検診をあまり意識する必要がないからといって、胸の健康に無関心でいいわけではない。
「20歳以上の女性は、月に1回、胸のセルフチェックを習慣にしましょう。タイミングは生理初日から約1週間後。乳房のハリや痛みがなくなって、柔らかい状態の時に行いましょう」(福田先生)
「乳がんは、皮膚の表面に近い部分にできることが多いため、自己検診で見つけられる可能性が高いんです。よく『しこりがわからない』という声を聞きますが、毎月同じタイミングで触っていれば、変化があった時には気づけるようになります。腋や鎖骨まわりのリンパ節に転移することもあるので、そこもチェックを」(増田さん)
月に1回行おう! セルフチェック法
- まずは見た目をチェック。腕を頭の後ろで組んで、乳房の左右差、腫れ、くぼみ、ひきつれ、皮膚の色の変化がないかを観察する。また、乳首のへこみ、変色がないかもしっかり確認しよう。
- チェックする乳房の側の腕を上げ、反対側の手の人差し指から小指で小さな“の”の字を描きつつ、乳首の周りを1周させる。指が肋骨にあたるくらいの強さで、乳房全体を確認しよう。
- 次に乳首をチェック。乳首を指先でつまんで、乳首から分泌物が出ないか、前の月に触った時と比べて違和感はないかなどをつぶさに調べる。痛くならない程度の力で行おう。
- 鎖骨まわりや腋の下のリンパ節も確認。しこりや、膨らみ、腫れがないかを調べよう。片方が終わったら、もう片方も同様に確認を。「鏡でチェック」以外は、仰向けで行ってもOK。
【5】死亡率減少効果を証明する乳がん検診はマンモグラフィだけ。
そもそもなぜ乳がん検診を受けるのかというと、がんがあった時に早期発見をしたいから。
「乳がん検診の方法には、大きくマンモグラフィと超音波の2種類がありますが、実は検診をすることで早期発見につながり、死亡率減少効果が見られるというデータがあるのは、マンモグラフィだけです。これは40歳以上の人を対象とした世界的なデータで、具体的には15~20%減。一方、残念ながら超音波は、どの国でも死亡率減少効果が証明されていません。マンモグラフィは痛いからと避ける人もいますが、早期発見を考えるなら、マンモグラフィでの検診が有効です」(福田先生)
【6】検診の良し悪しを知ったうえで、必要な人は受けに行こう!
乳がん検診は、マンモグラフィで行うことで早期発見ができるというメリットがわかったが、一方で、若い人にとっては高濃度乳房でしこりが写りにくかったり、被ばくをしたりとデメリットもある。
「それに検診をすると何かしらしこりが見つかることが多く、再検査になりますが、若年層の場合は大概良性です。そのための心的ストレスや、時間、費用の負担、さらに数か月おきの経過観察など闇雲な検診はデメリットが上回るとのデータもあります」(増田さん)
こうした事情を理解したうえで、やっぱり40歳前でも念のため検診をしたいなど、考え方は人それぞれ。自分に合った選択をしよう。
福田 護先生 医学博士。聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長。『改訂版 ピンクリボンと乳がん まなびBOOK』(主婦の友社)編著など乳がん治療の権威。
増田美加さん 医療ジャーナリスト。エビデンスに基づいた健康情報や患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。自身も乳がん経験者でがんの啓発活動に尽力。著書は『乳がんの早期発見と治療』(小学館)など。
※『anan』2019年9月18日号より。イラスト・HONGAMA 構成、文・保手濱奈美
(by anan編集部)
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