肩こりや頭痛、顔のむくみ、めまい、いびき…。これらは枕選びを間違えている人に起こりやすいトラブルだ。最近、そんな悩み改善を謳ったものなど、デザインも硬さも多種多様な枕が増え、余計に選ぶのが難しくなっている。
「合わない枕で寝ていれば睡眠の質は下がるので、ちゃんと吟味しなければいけません。でも、世の中に溢れる枕選びの基準は細かくなりすぎて、余計にみなさんを惑わせているとも思います」(快眠セラピスト・三橋美穂さん)
「身長、体重、性別などで合うものはある程度予測できますが、硬さ、高さ、肌触りなどで変わる寝心地の良さを実感するのは、個人の感覚的な部分。どの枕と相性がいいかは、何より試してみないとわかりません。結婚と同じです(笑)」と、これまで1200種類以上の枕を試し、100種類以上の枕をプロデュースしてきた河元智行さん。いつも寝慣れた場所で一人でゆっくり試すのが理想というが、何個も買うのは少々非現実的。お二人に、もう少し現実的な枕選びの基準を聞いてみた。
「ポイントとなるのは、高さと、フィット感、そして形や大きさです。枕に悩んでいる人の多くは、柔らかすぎるか、高すぎるものを使っている人が多いんです。今より少し低め、ちょっと硬め、そしてある程度の大きさのあるものを選んでみてください」(河元さん)
「寝返りがしやすいかどうかも大切。それと好みとのバランスをどうとるかで変わってきます。合う枕だと体と一体感が生まれ、枕を意識しないで眠れるようになるんです。実際に寝て試すのが一番ですが、それが難しい場合は、高さ調整シートが入ったタイプや、中身の素材を出し入れできるタイプを選ぶとよいのでは」(三橋さん)
ただ、ベストな枕が見つかっても、寿命があることを忘れずに。
「素材によって違いますが、1~5年が目安。寝心地が変わったと感じたら買い替えを」(三橋さん)
「良質な睡眠のためには、もっと枕と対話して、良い関係を築いていきましょう」(河元さん)
そもそも枕の役割って?
寝ている時は、直立した姿勢をそのままキープするのが理想。人間の骨格はS字にカーブしているので、S字を自然に保つ際に枕が重要な役割を果たす。また、寝た時に首と床の間にできる隙間を埋め、立っている時に頭の重さを支えている頸椎も安定させてくれる。
×:低すぎる
落ちた頭に血が上りやすく、眠りが浅くなる。顔がむくみやすくなったり、頭痛を招くことも。気道が確保しづらい。
×:高すぎる
首が無理な角度に曲がるため、肩こりなどが起こりやすく、気道を圧迫していびきを誘発。首のシワが増える可能性も。
素材は好みで選ぼう!
枕は、中の素材によって硬さやフィット感、ボリューム感まで変わる。また、清潔感を求める人は、洗えるものか、通気性が良いかなども選択基準に。最近は同じデザインでも、素材違いを選べる枕も増えているので、とことん好みのものを追求し、理想の枕を手に入れよう。
必ず押さえておきたいチェックポイント
呼吸がしやすい高さかどうか。
「まずは仰向けで枕をした状態で、首筋がスッと伸び、呼吸が楽にできるかを確認。続いて横向きもチェック。背骨から頸椎、頭のラインがほぼ真っすぐなら合格」(三橋さん)。「女性は低めを好み、枕使用時に高さ1~3cm程度を心地よく感じる人が多いようです」(河元さん)
寝返りを妨げない形とサイズか。
寝返りがしやすいかを基準に、枕の形と大きさにも注目。「中央部分が窪み頭に安定感が生まれるものや、首元を支える長方形の波型タイプなどデザインは豊富。色々試してみましょう。また小さいと寝返りしにくいので、最近は大きめを好む人が増えています」(河元さん)
後頭部と首に合う、フィット感を確認。
後頭部から首にかけてのカーブ、そして首の長さにフィットするものを吟味。「首と床との間に隙間ができないようにすれば、首が安定し疲れにくいです。日本人は後頭部が平ら気味の人が多いので、首の盛り上がりが強いデザインの枕は合いにくいでしょう」(三橋さん)
みはし・みほ 快眠セラピスト、睡眠環境プランナー。これまで、1万人以上の眠りの悩みを解決。睡眠を多角的に捉えた、実践的なアドバイスに定評がある。商品開発など活動は多岐にわたる。https://sleepeace.com/
かわもと・ともゆき まくら株式会社代表取締役社長。枕が合わず悩んだ自らの経験を生かし、消費者視点で枕の選び方を紹介する情報サイトを立ち上げ、枕の企画・販売を行う専門会社を設立。http://www.pillow.co.jp
※『anan』2019年9月11日号より。イラスト・徳丸ゆう 取材、文・板倉ミキコ
(by anan編集部)
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