コスパもいい! “大衆演劇”の世界を堪能するには?

エンタメ
2019.03.01
膨大な演劇作品の中から当たりを見つけるのは、初心者には至難の業。そんな人にとって『現代演劇大全』は格好のナビ。本の後半には大衆演劇という異界なページも…。その担当編集ヤスとユカが魅力を熱く語ります。
舞台

これも現代演劇のひとつの形。大衆演劇という沼の誘惑…。

ヤス:知り合いに勧められて浅草の木馬館に一見(ひとみ)劇団を観に行ったら、とにかく圧倒されて。お芝居がめちゃくちゃかっこいいし、舞踊ショーも着物やかつらを見てるだけでびっくりするし。失礼ながら大衆演劇ってB級のイメージがあったけど、演劇の一ジャンルとして純粋に面白い。特に、一見好太郎座長の芝居が最高。小さい劇場は他にもあるけど、あれだけ熱量のある芝居を目の前で観られるっていうのは、今まで味わったことがなかった。五臓六腑に刺さってくるのよ。感動も涙も半端ない!

ユカ:私も、講談を聞きに木馬亭には行ったことあったけど、隣の木馬館で大衆演劇をやってることさえ知らなかった。でも、ヤスに誘われて観に行ったらすごいエネルギーで、座長の色気にもやられた…。

ヤス:1600円で3時間半堪能できるってコスパもすごい。しかも1か月の公演中、毎日演目が変わる!

ユカ:お花(ご祝儀の現金)がつくっていう、他の芝居では絶対見られないシステムも見どころ。自分では花をつけられなくても、他の人がつけるのを見てるだけでも楽しめます。客席と舞台が一体化するんですよ。

ヤス:ハンチョ(掛け声)も面白い! 一緒に舞台を作ってるような感じで。

ユカ:関西だとさらににぎやかで、20代の女の子もキャー! って感じで観てるよね。

ヤス:それに、舞踊ショーは写真が撮り放題っていうのもうれしい。

ユカ:終演後に役者さんが表に出てきて、握手したりもしてくれるのよ。

――地下アイドルみたいですね。別料金出すと2ショット撮れたり。

ヤス:お金渡さなくてもいいのよ。

ユカ:そう…渡さなくていいの。

ヤス:芝居の出来がイマイチだったとしても劇場空間全体を楽しめるから、なにかしらお土産はあるはず。

――初めての人におすすめは?

ヤス:本でたっぷり取材してますが、まずは一見劇団。そして、最近テレビで人気の梅沢富美男さん。お約束をこれほど鮮やかに面白くやってのける役者は他にいません。

――初心者が直近で観に行くなら?

ヤス:4月に浅草の木馬館に一見劇団が出ます! 木馬館は昼夜で演目が変わるから、一日中楽しめます。

ユカ:お花見の行楽気分と一緒にね。

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舞台

抜群のイケメンっぷりと女形姿が同じ役者とは思えない一見好太郎座長。座員はほぼ家族。演劇が家業という形態ゆえに応援し続けたくなるのも他の演劇にない魅力。

ヤス 大衆演劇のせいで服がヒョウ柄だらけに。好物はカレーと中村吉右衛門。

ユカ 建築系ライターなのにスマホ内写真が大衆演劇一色に。好物はアジフライ。

『現代演劇大全 いま観るべき 舞台のすべてがわかる』 本の前半では、NODA・MAP 、劇団☆新感線などいまや老舗的存在から、本誌連載でおなじみの月刊「根本宗子」など気鋭の劇団、三谷幸喜や栗山民也といった演劇人まで、何がどういいのかを多くの舞台写真や資料とともに詳細に解説。面白い演劇が見つかるキーワードが全162ページに凝縮。発売まもなく二刷に。マガジンハウス 2700円

※『anan』2019年3月6日号より。写真・水野昭子

(by anan編集部)

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