“ラム”が主役の大人なケーキ 芳醇なる余韻に溺れる…

2019.2.28
スイーツライターのchicoさんがおすすめスイーツを紹介する「お菓子な宝物」。今回は『Le Magnolier(ル マグノリア)』のアルテミスです。
FOOD

目が醒めるようなひと口だった。この〈アルテミス〉ではラムは香り付けでなく、思いきり主役。口にするとたちまち蕩け、ラムの香りに満たされる。ショコラとブリュレのこっくりした甘みをお酒がキレよくまとめ、食後は優雅で仄かにスモーキーな香りが続く。なんて幸せな余韻だろう。

「ヒントになったのは『シャンドワゾー』の〈ロワイヤル〉という口どけ良い紅茶のケーキ。滑らかな口どけに乗って香りが放物線を描くように伸びていくイメージがあって、それをラム酒で表現してみました」と、『シャンドワゾー』では長くスーシェフを務め、昨年この店を開いた伊東大樹シェフ。理想の口どけを叶えるべく、ガナッシュは水分をギリギリまで上げて瑞々しく、ブリュレもゼラチンをできるだけ控えた。さらに「全パーツに香り高い『ネグリタラム』を効かせますが、そのまま使うばかりでは強すぎるので」とひと工夫。ブリュレはふんわり香るようアルコールを飛ばし、ビスキュイには生のラム酒シロップをうってダイレクトに味わわせる。ガナッシュに混ぜるラムも生だけどショコラを合わせることで、エッジを残しつつ穏やか。全部一緒に食べると尖りすぎたりせず、酒呑みでなくてもラムの奥深さに気持ちよく溺れられる。

チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。

“ラムの貴婦人”と呼ばれるフレンチラム、「ネグリタラム」の香りが重なる「アルテミス」¥463。芳醇とはまさにこのこと!

Le Magnolier 東京都西東京市谷戸町3‐10‐2 TEL:042・439・4590 10:00~19:00 火曜休(ほか不定休あり) 昨年11月オープン。

※『anan』2019年3月6日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・中根美和子 取材、文・chico

(by anan編集部)

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