「強さを誇示するような男の人もいやだし、かといって何もかも言うことを聞いてくれるのもちょっと物足りない。雄ネコ男子って、たぶんその間の、いい塩梅のところにいる存在」
と言うのは、マンガ家の水城せとなさん。愛らしさと男らしさを絶妙に使い分け、女子の心を揺り動かす雄ネコ男子の魅力とは、いったいなんなのか。
「私の描いたマンガの中だと、『脳内ポイズンベリー』に出てくる早乙女亮一が、これに近いキャラクターですね。主人公のいちこが恋を諦めた頃に甘えてきたり、思わせぶりなことを言ってきて彼女を翻弄する。しかも捕まえようとするとスッと逃げて、なかなか首輪をつけさせてくれない(笑)。だからこそ、女子は惹かれるわけですが」
そんな魅力的なネコを飼いならすには、いったい何が必要?
「物わかりがいいフリをするのは逆効果。顔色は窺わず、こっちも好き勝手に振る舞うほうが、お互いにイーブンな関係でいられる気がしますね」
惹かれる理由1 ソフトな見た目に、いい意味で裏切られる。
以前はいわゆる“男らしさ”が魅力とされていたが、時代が変わり、スマートさ、ソフトさのニーズが徐々に増加。それに応えるよう男性も少しずつ小綺麗になってきた、と水城さん。
「その流れの延長線上に登場したのが、いわゆる<草食男子>。でも残念ながら彼らは、欲望があるのかどうかがよくわからない、“草”のような存在で、女性からすると、恋をするには“雄み”が足りなかったんですね。そこから導き出された一つの理想が、中性的で美しいルックスを持ちながら、内面には男らしさを隠し持つ、という男性像なのではないでしょうか」
かわいいと愛でていると、雄の欲望が見え隠れ。そのギャップに、思わず身悶えするのかも。
惹かれる理由2 勘が良く、相手を喜ばせる術を心得ている。
水城さん曰く、ネコはとても頭の良い生き物。しかもその知能を“ここぞ”というときに使う賢さを併せ持つのだとか。
「雄ネコ男子にも同様に、自分の魅力をうまく使う賢さを感じます。自分の魅力や武器がなんなのかを冷静に見極めた上で、それをひけらかすわけではなく、女性が喜びそうなタイミングで、うまく繰り出してくる。それって狡猾ともいえますが、でも今の時代、立ち回りの上手さはたくましさでもあると思う。喜ばせてくれるのって、なんだかんだ言って気持ちがいいし、嬉しいじゃないですか(笑)。そういった“うまく立ち回る”技を繰り出されると、この男にはかなわないなと、気持ちよく陥落しちゃうんだと思います」
惹かれる理由3 適度に距離感があり、マイペースに過ごせる。
友達付き合いもあるし、当然仕事も忙しい。正直、彼と毎日一緒にいることを求めていない女性も多いのでは。
「そういう意味で、ネコのように気ままに生きている男性は、マイペースに生きる現代の女性にとって、ある意味“都合の良い存在”なのかもしれません。常に一緒にいると揉め事も起こるし、煩わしくなることも。でも雄ネコ男子の場合、問題が起こらない距離感をキープできるわけですから、むしろそこは好都合。たまに寄ってくるけれど、気分次第で逃げちゃうというのだって、恋愛に緩急がつくと考えれば悪くない。結婚にこだわらず、とにかく恋を楽しみたい女性にとっては、刺激が生まれるいい関係だと思います」
水城せとなさん マンガ家。雑誌『イブニング』(講談社)にて、「世界で一番、俺が◯◯」を連載中。弊誌の連載「恋のかた結び」も人気。
※『anan』2018年11月14日号より。イラスト・ボブa.k.aえんちゃん 取材、文・河野友紀 撮影協力・AWABEES
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