試行錯誤の10年間が詰まった集大成的アルバム。
――どんなテーマで作ったアルバムですか?
佐藤:前作を作っているときから、次はキラキラしたものをとみんなで話していたんです。でも、人生ってキラキラしてるばかりじゃなくて、苦しかったり痛かったりもする。そうした部分も楽曲になっていって、深みのある作品になりました。
――節目となる本作ですが、この10年での経験はどう影響しましたか?
佐藤:昔はカッコつけたりオシャレにしたり、付加価値をつけたかったんですけど、10年間という積み重ねによって自分たちのサウンドにも自信が生まれて、シンプルに表現することが怖くなくなりましたね。
西村:僕は、楽曲の持つ世界観や景色をより的確なアプローチで伝えられるようになったかなと思います。
谷口:結果、今までの積み重ねを振り返る集大成的な作品になった。
あーちゃん:これまで作ってきた楽曲が葉っぱやお花だとすると、このアルバムで、きのこ帝国という“木”を作れたんじゃないかと。
西村:すごくいい喩え!
佐藤:年輪は10個だね。個々の葉や花は色とりどり形も違うけど、バンドとしてはまとまっている1本の木。
――お薦めの一曲は?
西村:「金木犀の夜」。これまでの恋愛で見た情景が浮かぶと思います。
あーちゃん:「中央線」の切ない歌詞は、恋愛脳の私に響きます(笑)。
谷口:「ヒーローにはなれないけど」の1行目は、佐藤さんが書かなそうな歌詞なんです。その驚きを僕なりのアンサーとしてフレーズにのせました。
佐藤:「夢みる頃を過ぎても」かな。読者の方々も私たちも、夢を追い続けるか諦めるか、岐路に立つ年齢ですよね。聴く人によって“夢を追い続けよう”とも“違う扉を開いて一歩を踏み出そう”ともとれる曲に仕上がって、大人と子供の狭間にいる人たちの心に届く曲になったと思います。
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きのこていこく あーちゃん(G)、佐藤千亜妃(V&G)、谷口滋昭(B)、西村“コン”( D )。大学在学中の2007年結成。'15年、シングル『桜が咲く前に』でメジャーデビュー。
※『anan』2018年10月3日号より。写真・土佐麻理子 スタイリスト・森山優花(S-14) ヘア&メイク・SAKURA takane(共にアルール) 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)
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