学年差を超え誰もが自由に意見し高め合えるチーム。
青森駅から車で約30分の場所に青森大学(以下、青大)男子新体操部の練習場がある。出迎えてくれたのは、青大男子新体操部をインカレ16連覇に導いた名将・中田吉光監督と選手たち。すでに練習は始まっていたが、強豪のイメージから思い描くシリアスな厳しさはなく、むしろ自由で開かれた空気を感じられた。監督が陣取るのはフロアの真正面だが、大声で選手たちを統率したり指示する様子はない。どうやら、練習の主導権は学生に託されているらしい。
「必ず勝てるマニュアルはない。だから練習するんですね。積み重ねた時間や築かれた信頼関係は必ずや自信に繋がります。指導者の僕がやるべきことは、それを自分で感じ取り考え発信できる選手が育つための練習です」(中田監督)
団体戦レギュラー6人の練習が始まった。しなやかに躍り、止まり、力強く跳ぶ。ぴたりと合った連携の美しさと躍動感に胸を掴まれる。いいパフォーマンスの時には、周りの選手たちからも拍手が起きるのが印象的だった。1フレーズ終えるごとに監督の元に全員が集まり、修正を加えていく。驚くのは、メモも取らずに眺めていた監督の、ひとりひとりに対する細やかな指導ぶりだ。そして、そこでレギュラー以外の選手たちから、忌憚なき意見が飛び出すことも。主将の大岩達也さんは語る。
「人間力のある選手になれとは、監督の言葉。全員がレギュラーに負けない努力をし、人間力を磨くからこそ、お互いが遠慮せずに意見が言い合えるんですよね」
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